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(回答先: 報道の自由 投稿者 たこ 日時 2003 年 5 月 06 日 09:38:39)
アメリカの事件(「本件」とする)は、金銭的請求であることからもわかるように、「正しい報道」を訴求したわけではなさそうです。「歪んだ報道」を強要されたことに関する何らかの損害の賠償を求めたものです。
日本やヨーロッパの大部分と異なり、アメリカでは解雇の自由が大きく、無理由解雇を可能とする労働契約も有効とされますから、解雇による金銭的損害を争う余地は大きくありません。「不当な業務命令を受けた」という精神的苦痛が主なら「慰藉料」の請求です。法人の人権を問題にするか否かは別論としても、本件で報道の内容に介入して、「正しい報道」を命じる判決は望むべくもないと思いますし、実際にも、そんなことを求めた訴訟ではなさそうです。
このように考えると、事実認定が主体である下級審で、「真実を捻じ曲げた報道をするように圧力をかけられた(引用は悪夢としてのアメリカ氏のコメント、http://www.asyura.com/0304/dispute10/msg/185.html)」という判断が得られたなら、それで政治的には大勝利というか、訴訟の目的を達したと判断できると思います。仮に上級審で何らかの法律上の判断で、損害賠償が否定されても、「真実を捻じ曲げた報道」という判断は残ります。(この点は悪夢としてのアメリカ氏のコメントと反対に、本件訴訟は「勝利」と評価します。)
日本でも、新聞の場合とのバランスを考えると、放送の公共性だけを根拠に、本件のような例で実際に慰藉料が取れるかは相当に疑問です。もっとも、日本では解雇に厳しい制約がありますから、雇用契約の存続確認などなら成功する例かもしれません。