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(回答先: たこさん:日本法では会社法人は日本国憲法の人権規定の保護を受ける主体となれるのですか? 投稿者 ハタミ 日時 2003 年 5 月 04 日 03:55:57)
憲法の人権規定は、条文で「国民」、「何人も」などとされていますから、外国人や法人の人権享有主体性が問題になることもあります。ごく一般的な考え方では、「性質上可能なかぎり」外国人や法人にも及ぶとしています。法人の政治献金について、「会社は、(中略)政治的行為をなす自由を有する」などとする判例があります(最大判昭和45.6.24民集24.4.625、いわゆる八幡製鉄事件、百選9)。
日本の感覚としても、会社に報道の自由があることは否定できません。もっとも、新聞と異なり、無線通信による放送の場合は、電波帯域という有限の資源を割り当てられた放送事業者の行為として、ある程度の公共性が求められます。放送法3条の2では、「政治的に公平」や「事実をまげない」などの規制があります。政党機関紙は創刊できますが、政党機関放送局は日本法では不可能です。
アメリカの事件は判決理由は見ておりません。通りすがりの一言氏のご意見にあるように、「私人対私人」ですが、一方が有限の電波帯域を割り当てられた放送事業者という特別の私人ですから、争い方によっては、このような「公共性」に持ち込むことが可能であったかも知れません。一方が会社ないし法人なので人権を共有しないとの観点ではなく、電波による報道の場合は、「報道の自由」が一定の制約に服するという観点です。しかし、それによっても、本件のようなケースで慰藉料が認められるかは疑問です。少なくとも、新聞の場合なら、署名記事の改竄など、記者の人格にかかわらない限り、慰藉料も認められないと考えられるからです。
日本の仮想例ですが、「赤旗」新聞の記者が書いた反共記事をボツにするのは雇用者の自由。当該記者の解雇は雇用契約と労働法の問題だが、取材部門以外への配転は通常は問題にならないなどと考えられます。