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投稿 平成15年05月02日00時44分
太田龍の時事寸評
平成十五年(二〇〇三年)五月一日(木)
(第五百六十四回)
○朝日新聞、平成十五年五月一日号、六頁。
ここに、米国ネオコン特集記事あり。
○色々と取材して書かれて居るが、にも拘わらず、
(1)レオ・シュトラウスとの関係については、一言も言及され
て居ない。
(2)「ウィークリー・スタンダード」誌は、米国ネオコンの有力
な出版物であり、アービング・クリストルの息子、ウィリア
ム・クリストルを編集長とする、と言うのだが、この
「ウィークリー・スタンダード」誌の資金的主柱はマードック
であること、そして、更にその背後には、ロックフェラー
など、国際石油資本がひそんで居ること、このことが述べ
られて居ない。
(3)ここには、ネオコンの外交政策のことしか書かれて居ない。
アシュクロフト司法長官も、ネオコン人脈の一人であり、
そして、アシュクロフトの指揮下で、米国は、急速に、
警察国家、収容所国家、監獄国家へと移行しつつあること、
そして、そのことも、いわゆるネオコンの主要政策の一つで
あること、そのことも、書かれて居ない。
○レオ・シュトラウスが米国ネオコン人脈の源泉であることを知ら
なければ、ネオコンは、突如として米国政界に乱入して来た右翼
過激派カルトまがいのしろものにしか見えないであろう。
○恐らく、朝日新聞社は、そのように、状況を眺めて居るのかも
知れないが。
○更に、もう少し立ち入って調べたつもりの専門家は、米国ネオコン
の起点を、米国トロツキスト運動からの、米国保守陣営への数人の
転向者、に求めたい。いずれもユダヤ人である、と言う。
○しかし、こんなことを「発見」して、鬼の首でも取ったように自慢
するのは、見苦しい。
○そもそも、十九世紀末、二十世紀初頭依頼米国の労働運動、社会
主義運動、共産主義運動、アナーキズム運動、フェミニズム運動、
これらは、圧倒的にユダヤ人が主導して居り、そしてそれらの
ユダヤ人は、シオニスト的ユダヤにつながり、結局は、イルミナ
ティ三〇〇人委員会の工作隊としての役割を果たしてきた。
○ネオコンについては、しかしながら、こうした米国の左翼の潮流
が直接、生み出したものではない。
○ネオコンは、レオ・シュトラウスが、シカゴ大学の政治学、政治
哲学の教授として、多数の学者、門下生、弟子を養成した、その、
シュトラウス学派を基盤として形成されたものである。
○つまり、シュトラウス学派が全米アカデミズムの政治学、政治哲学
の分野を制圧して行った、一九五〇年代、六〇年代をこそ、問題と
しなければならない。
○こうしたシュトラウス学派の中に、その一人として、米国トロツキスト
運動からの転向者も、たまたま、存在した、と言うだけのことに過
ぎない。
○それでは、シュトラウスの政治学、政治哲学とはいかなるもの
なのか、そして、そのシュトラウス政治学は、現代の米国ネオコン
の政策に、どのように表現されて居るのか、
それこそ、問題の本筋、であろう。
(了)