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【ワシントン31日=前田徹】
ブッシュ米大統領が一般教書で反テロ戦争の第二目標として掲げた大量破壊兵器阻止で、イラクに対する国連の大量破壊兵器査察受け入れ要求が最初のヤマ場となりそうだ。イラク制裁プログラムが今年五月三十日で期限切れになるため、その直前に米国が査察受け入れの最後通告を行う観測が高まっているためだ。一方、北朝鮮に対しても国際原子力機関(IAEA)査察団の自由な立ち入りを求めるとみられる。
米国務省筋によると、ブッシュ大統領が一般教書でイラク、イラン、北朝鮮の三国だけをわざわざ名指しして生物化学兵器所有や核兵器開発などの危険を指摘したのは、この三国が最も核保有に近い“無法国家”と判断されたためだ。中でもイラクは最も危険視されており、「査察受け入れか、それとも石油輸出全面禁止」という二者択一の最後通告を数カ月以内に発する可能性が高いという。
イラクは湾岸戦争直後、国連決議で経済制裁を科されていたが、その後、人道物資購入に限定して石油輸出を認める「石油輸出プログラム」に緩められていた。昨年十一月二十九日にはそのプログラムの六カ月延長が国連安保理で決まったばかりだ。ブッシュ政権はその期限がやってくる五月下旬をめどにして最後通告を行うとみられる。
イラクは一九九八年に国連大量破壊兵器廃棄特別委員会の査察を拒否して以来、一貫して査察を受け入れていない。自ら加盟するIAEAの定期査察については受け入れているものの、米側はイラクが核兵器開発に取りかかっている危険が高いとしており、今年一月のジュネーブ軍縮会議でもボルトン米国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)が「イラクの核兵器開発は紛れもない現実だ。米国と同盟国はこのまま放置しないだろう」と、強い口調で警告していた。
これに対し、イラクのフセイン大統領は一月十七日の湾岸戦争開始十一周年記念演説で「査察をイラク攻撃の口実にしている」と米国非難を強め、査察受け入れを拒否している。
一方、ブッシュ大統領が一般教書で「ミサイルと大量破壊兵器で武装しながらも国民を飢えさせている国」と表現した北朝鮮についてもブッシュ政権は核査察をめぐって厳しい姿勢をとる可能性が高い。
北朝鮮は一九九四年、米朝核枠組み合意に応じ、核拡散防止条約(NPT)に基づくIAEAの査察を受け入れることになっているが、ボルトン国務次官はジュネーブ軍縮会議開始前の昨年十二月、「北朝鮮は査察を受け入れるという合意事項を守っていない。査察官は自由な査察を許されていないからだ。われわれは今後も日本、韓国とともに合意順守を強く求めていくが、北朝鮮がいつまでも回避する時間は少ない」と強く警告している。