02/22 17:21 過激派摘発に強い反発 改革の道険しいパキスタン 外信84
【イスラマバード22日共同】パキスタンで起きた米国のダニエ
ル・パール記者(38)誘拐事件が二十二日、記者惨殺という最悪
の結末を迎えたことで、ムシャラフ大統領は米国などからの圧力で
イスラム過激組織の摘発を一層強化せざるを得ない見通しだ。
だが、犯行の背景には対米協調、反テロ路線に踏み出した政権へ
の強い反発があるとみられ、多数の過激組織を抱える同国の改革へ
の道は険しい。
同大統領は昨年九月の米中枢同時テロをきっかけにアフガニスタ
ンのタリバン政権支持を百八十度転換。歴代政権や軍情報機関との
密接な関係が指摘されてきたイスラム過激組織にも強硬姿勢で臨み
、先月には一部組織の非合法化を表明。誘拐犯の一人として逮捕さ
れたアフメド・オマル・サイード・シェイク容疑者の組織も含まれ
ていた。
事件当初、犯人側は同記者の解放条件として、パキスタン国籍の
アルカイダ・メンバーの本国送還などを要求。過去にも欧米人誘拐
事件を起こしている同容疑者は「パキスタンは米国に迎合すべきで
ない」「パール記者は反イスラムでユダヤ人」と、犯行動機を供述
したとされる。
過激組織取り締まりやマドラサ(イスラム神学校)改革などで国
際社会の評価を受けつつあった同政権は、今回の残忍な犯行による
イメージ悪化が避けられず、犯人側の狙いもそこにあったとみられ
る。
ムシャラフ大統領は事件さなかの今月半ば、米国でブッシュ大統
領と会談し、関係改善に成功したばかり。アフガン難民問題に加え
、インドとのカシミール問題を抱えるパキスタンにとって、米国の
支援は今後も不可欠だ。だが、テロ撲滅を求める米国とジハード(
聖戦)を主張する過激組織の板挟みになり、窮地に陥る可能性も十
分ある。
(了) 020222 1720
[2002-02-22-17:21]