政府が今国会に提出するテロ資金供与処罰法案(仮称)の骨格が21日、明らかになった。ハイジャックや爆弾テロなどの犯罪行為に使われる資金の提供と収集行為を新たに犯罪と定め、最長で懲役10年の刑罰を科す。
テロ実行の有無を問わない予備罪・ほう助罪としては異例の重刑だが、欧米諸国が同様の法定刑の上限を10―20年と厳罰化しており、テロ対策の国際標準に従った。
同法案は、政府が昨年10月に署名したテロ資金供与防止条約の国会承認と併せ、条約実施に必要な国内法整備を図るのが狙いだ。現行法では、犯罪の実行行為に関係なく資金提供自体を罪と規定している法律には、売春防止法(最長懲役7年)、サリン防止法(同3年)などがあるが、テロ行為全般の資金提供を処罰する法律はなかった。
同法案では、ハイジャック、爆弾テロ、国家元首へのテロなど、日本が締結済みの9つのテロ防止関連条約で規定した犯罪行為などを列挙し、それに関連した資金提供・収集行為を未遂も含め処罰する。さらに、組織的犯罪処罰法もあわせて改正し、これらのテロ実行のための資金提供・収集行為を、同法で定める「疑わしい資金取引」の対象に加える。これにより、金融機関に金融当局への届け出義務が課され、司法当局がテロ資金の没収・追徴・保全を行えるようになる。(読売新聞)
[2月21日14時34分更新]