数日前に売り出された雑誌「新潮45」に「オサマビンラディンの葬式に出席した男」というフリーライターのルポが掲載されていました。既に2カ月ほど前に、パキスタンからの情報として新聞各紙に報道された内容の焼き直しで、新鮮味はありません。また「事の真偽」も、一般の日本の庶民たる小生には、確かめようがない。ただし、 この情報の背景を推察すれば、アフガンとの国境のトライバルエリアあたりに、オサマが潜んでいる、と米軍が主張して軍事攻撃をかけられることを恐れたパキスタン政府が軍情報部の親タリバン派を通じて「死亡説」を流したのだろう、と思われます。
オサマの”死因”が腎臓病になっていますが、これについては、以下の情報が参考になる、と思います。サウジを終われスーダンに移ったオサマとアラブ・アフガンに対し、サウジ政府(トゥルキ王子)は、暗殺チームを何度か送り込んだ。これは、事前に情報がリークし、失敗したが、さらにアフガン移住後も、暗殺チームが暗躍し、毒を盛られたオサマは腎臓を悪くし、完治していない。サウジが執拗にオサマを狙うのは、もちろん、サウジの現王朝打倒を呼びかけているためです。(どうでもいいことですが、アフガンの昔の首相でアミンに殺されたタラキという人がいますが、サウジのトゥルキ王子も「タラキ」とも発音します。どうして呼び方が異なっているのでしょう)。
朝日新聞社の月刊誌「論座」の3月号にフォーリン・アフェアーズからの転載で2つの論文が載っています。「米国はパキスタン(即ちムシャラフ現政権)をもっと助けないと、対イスラム政策が破綻する」というカーネギー研究所の研究者の論文と、「ブッシュは”対テロ戦”を始めることで、イスラムという10億の人口を有し、欧米とは最も”非和解的”なエスニッツク集団の懐に深く引きずりこまれた」とブッシュ政権の政策を批判する学者の論文で、いずれも読み応えがあります。米国もダブヤのようなレベルの頭の人間だけでないことがよく分かります。米国も手強い。フォーリンアフェアーズは、例の外交評議会(CFA=カウンシル・フォー・フォーリン・アフェアーズ)とつながり、トライラテラルとも関係がある筈で、米国の懐も深い。日本も「真紀子対宗男」などというどうでもいいことにうつつを抜かしていないで、カーライルやエンロンやユノカル問題をキチンと分析できるシンクタンクを早急に作る必要があるでしょう。このサイトの投稿者の方々は全員、主席研究員になれます。外務省なんかに任せていてはどうにもならないので、NGOで作りましょう。でも、また「アホの坂田」がしゃしゃり出てきて口をはさむかしら(笑)。
ついでに、21日の毎日新聞のリチャード・コーエン氏のコラムの翻訳が載っています。ブッシュを「存在理由がはっきりしなかったが、9・11アタックによって彼の中の”神政政治家”の資質が露呈してきて、十字軍的情熱に取りつかれている」と批判的に述べています。ブッシュが「崇高なもの」に取り付かれ易い性格であることは、以前にもレポートしましたが、小生はその理由は、けっして高級なものではなく、前大統領の長男にはからずも生まれついてしまったこと、によるトラウマ、コンプレックスだ、と思っています。まあ、21世紀になって「十字軍的情熱」に満ちたリーダーが登場した、というのも驚くべきことですが、なにやら、オサマ対ブッシュ(タブヤ)という両宗教指導者の「がっちり四つ」の戦いのために、世界が滅ぼされてはたまったものではありません。