【エルサレム海保真人】
ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ラマラ近郊の村、エイン・アリクのイスラエル軍検問所で19日夜、イスラエル兵部隊がパレスチナ人とみられる武装集団の銃撃を受け、兵士6人が死亡、1人が負傷した。イスラエル兵が一度に6人も殺されたのは、約1年5カ月続く衝突で初めて。イスラエル軍は20日未明、ガザ市にあるアラファト・パレスチナ自治政府議長の議長府庁舎を戦艦から直接攻撃するなど最大限の報復策に出た。
議長府攻撃では警備員らパレスチナ人4人が死亡した。イスラエル軍はまた、F16戦闘機や武装ヘリでアラファト議長が事実上軟禁された西岸ラマラの議長府直近やガザのパレスチナ警察本部まどをミサイル攻撃したが、議長は無事だった。一方、西岸ナブルスでは銃撃戦でパレスチナ人警官4人が死亡した。
イスラエル兵銃撃事件では2〜3人組とみられる武装団が検問所施設を急襲し、兵士に対し近距離から一斉に自動小銃を乱射し逃走したという。
パレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハの軍事部門「アルアクサ殉教者団」など複数の武装集団が犯行声明を出したが、犯人グループはまだ特定されていない。
パレスチナ人武装集団の攻撃は先週以来、イスラエル兵とユダヤ人入植者を標的に激化。14日はガザの戦車爆撃で兵士3人が死亡、16日は西岸の入植地の自爆テロでイスラエル人2人が死亡、18日はガザの入植地近くの乱射事件でイスラエル人3人が死亡した。イスラエル軍はその度に報復攻撃を繰り返したが、パレスチナ側の死者が続出し、逆に新たな報復攻撃をあおる形になり、歯止めがなくなっている。
シャロン・イスラエル首相は政権内の右派から従来以上の強硬策を求められており、今回もアラファト議長関連の施設を狙い威嚇に出たと言える。だが、軍事報復だけでは事態の進展は望めそうにない。
[毎日新聞2月20日] ( 2002-02-20-14:13 )