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【カブール31日=新居益】アフガニスタン暫定行政機構の国防省当局者が31日、本紙に明らかにしたところによると、アフガン東部パクティア州で30日、暫定行政機構が指名した知事と反対勢力との間で衝突が発生した。AP通信によると、31日までに少なくとも43人が死亡した。昨年12月のアフガン暫定行政機構の発足後、最大規模の衝突とみられる。アフガンではタリバン崩壊後、権力の空白につけ込んで地方軍閥が復活し、二重三重の権力状態が発生、小競り合いが続いており、暫定行政機構にとって最大の懸案となっている。
国防省当局者によると、同州知事にパチャハン・ザドラン氏(パシュトゥン人)が指名されたことに、別のパシュトゥン人有力者アジ・サイフラ氏の部隊が反発、州都ガルデズで市街戦となった。サイフラ氏の部隊は州庁舎を占拠している。ロイター通信によると、米軍はガルデズに駐留しているが、静観している。
タリバン崩壊後、アフガン各地では統治体系が混乱。暫定行政機構の実質的支配が及ぶのはカブールとその周辺に限られている。
外交筋や地元ジャーナリストの情報を総合すると、アフガン各地を実効支配しているのは、ファリャーブ州を拠点とするドスタム将軍(ウズベク人)、ヘラート州のイスマイル・カーン司令官(タジク人)、カンダハル州のグラガ・シャラザイ州知事(パシュトゥン人)、ナンガルハル州のアブドル・カディール都市開発相(パシュトゥン人)、クンドゥズ州のダウド司令官(タジク人)、バーミヤン州のハリリ氏(ハザラ人)、パロワン州のファヒム国防相(タジク人)の7有力指導者。
暫定行政機構は、これらの実力者と緊密に連絡を取りながら、知事選定を進めていた。
今回の事件の舞台となったパクティア州とその周辺5州では抜きんでた有力者がおらず、シューラ(評議会)による集団指導体制を取っているため、治安情勢が不安定とみられていた。
ただ、7人の実力者の元にも計1000前後の中小の軍閥が連なり、「二重三重の権力構造」(地元ジャーナリスト)がある。軍閥間の小競り合いは頻発しており、パクティア州と同様の大規模衝突が発生する可能性は捨てきれない。
このため、暫定行政機構のカルザイ議長は、主にカブールで活動している国際治安支援部隊(ISAF)に対し、地方展開の要請を強めることになろう。
カルザイ議長は国内でも高い支持を得ているが、軍閥の微妙なバランスを見誤れば、一挙に支持を失うことになりかねない。(読売新聞)
[2月1日1時19分更新]