アフガン問題関連で、忘れられている本のひとつは、99年5月に講談社から翻訳が出た「世界の危険・紛争地帯体験ガイド」(原題は「フイールディングス・ワールズ・モースト・デンジャラス・プレイスイズ」)、著者はカナダ生まれの冒険好きの実業家・バート・ヤング・ペルトン氏(46)。ざっと読んだ後、押し入れに放り込んだままで、先日、掃除をしていて”再発見”した。アフガニスタンはもちろん、パキスタン、チェチェン、インド、タジキスタン、そしてもちろん”悪の枢軸”ことイラク、イラン、北朝鮮、さらにスーダンやソマリアの”危険度”を詳述。著者はこれらの国にすべて足を運んでおり、記述のリアリティは大変な迫力だ。しかも、バックパッツカー風の「ヒステリッツクにならない強靭なユーモアと観察精神」にあふれており、例えば、アフガニスタンの項では、オサマ・ビン・ラディンもちゃんと登場、「中東のロスペローとでも言うべき人物」「サウジにおける強硬派(イスラム原理主義)政権誕生の可能性は、ロスペローが米大統領になる可能性といい勝負」(この本は98年に米国で出版され、今回の大統領選挙前の執筆)など余裕のある見方を披瀝している。インディ・ジョーンズ的チャレンジ精神(まあ、人によっては、インディ・ジョーンズも帝国主義的侵略者などと言う人もいるかも知れませんが)あふれる本です。良質のアメリカ人には、こういうゆとりがあったのですが、今の米国では、すっかりね失われてしまったようですね。