【エルサレム18日=久保健一】
パレスチナ過激派が開発した長射程のロケット弾や、高性能対戦車地雷など新型兵器の威力が最近相次いで明らかになり、イスラエル側に、武力衝突のさらなる泥沼化を懸念する空気が強まってきた。
パレスチナのイスラム原理主義組織ハマスは16日、ガザ地区との境界から約6キロイスラエル領に入ったクファルアザの農場に新型地対地ロケット弾「カッサム2号」を撃ち込んだ。英軍事雑誌ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー西岸特派員のムハンマド・ナジーブ氏によると、「2号」は、手製の域を出ないものの旧型の「1号」(射程2キロ)に比べ精度、射程(約10キロ)ともに「格段に向上」し、自治区ベツレヘムから発射すれば、首都エルサレムに到達するという。
新型ロケット弾に対応するため、イスラエルは本格的な防御措置を迫られており、ベンエリエザー国防相は、イスラエルとの境界沿いの西岸、ガザ外縁部の幅数キロをイスラエル軍が占拠し、「安全保障地帯」を設ける検討に入ったと述べた。
一方、イスラエルテレビによると、ガザ地区中部で14日夜に起きたパレスチナ過激派による初のイスラエル軍戦車破壊に使用されたのは、これまでパレスチナで使用例のない高性能プラスチック爆薬であることが分かった。爆薬は国外から極秘に持ち込まれたと見られるが、イスラエルにすれば「世界最強」(イスラエル紙)とされる同国産「メルカバ3」戦車のぶ厚い装甲を破られ3人が即死した心理的衝撃は大きい。
ロケット弾や対戦車地雷は、イスラエルが昨年5月に撤退した南部レバノンで反占領闘争を行っていたイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラが常用していたもの。イスラエル側では、ガザの戦車爆破作戦にも、ヒズボラの直接関与があったとの見方も浮上している。
(2月18日23:16)