【カイロ小倉孝保】
イスラエルによるアラファト・パレスチナ自治政府議長の軟禁が続く中、アラブ諸国が議長の軟禁解除へ向け外交攻勢に出ている。3月27、28日にベイルートで開かれるアラブ連盟の首脳会議にアラファト議長が出席できない場合、国内からアラブ首脳の指導力に疑問の声が出るのは必至の情勢だ。
シャロン・イスラエル政権は昨年12月、「過激派対策が甘い」としてアラファト議長をヨルダン川西岸ラマラで軟禁状態に置いている。
ムバラク・エジプト大統領は16日、シナイ半島の保養地シャルムエルシェイクで米中央情報局(CIA)のテネット長官と会談。その際、イラクへの攻撃回避とともに、アラファト議長の軟禁を解くようイスラエルに忠告してほしいと依頼したとされる。
ムバラク大統領は3月初めに米国訪問を予定しており、ブッシュ米大統領に直接、アラファト議長の軟禁解除を求めるつもりだ。
また、17日付の汎アラブ紙「アルハヤト」によると、サーレハ・イエメン大統領は同紙とのインタビューの中で、「首脳会議にアラファト議長が出席できない場合、会議が無意味になる」と述べ、イスラエルに圧力をかけるよう米国に依頼していることを明らかにした。
ベイルートのアラブ首脳会議では、パレスチナ問題とイラク問題が中心議題になる。アラファト議長はこれまでの首脳会議には必ず出席しており今回、アラブ首脳には「議長が出席できないとなると、アラブ諸国がイスラエルに対し何の影響力も持ち得ない状況が露呈してしまう」(外交筋)との危機感がある。
昨年12月にカイロで開かれたアラブ連盟の外相級会議でも、アラファト議長は出席に意欲を見せたが結局、出席できなかった。
[毎日新聞2月18日] ( 2002-02-18-11:11 )