【ハーグ(オランダ)14日=佐々木良寿】
ユーゴスラビアのミロシェビッチ前大統領を被告としてハーグの旧ユーゴ戦犯国際法廷で開かれている戦犯裁判で、同前大統領は14日、「この法廷には一片の公正さもない。セルビアと私を支持してきた国民を裁こうとするものだ」などと陳述、99年の北大西洋条約機構(NATO)による対ユーゴ空爆を「犯罪」として指弾するなど、検察側との対決姿勢を鮮明にした。
前大統領はまず、「わが国に対する戦争のために、プロパガンダと欺まんが世界中のメディアを通じて広められた」としたうえで、旧ユーゴ紛争に際しての米欧の不協和音を取り上げ、「ボスニアを内戦に追い込んだのはあなたたちのボスではないか」と、同国際法廷設置に中心的な役割を果たした米欧の責任を指摘。コソボ紛争については、セルビア当局による武力行使を「アルバニア系武装組織に対するテロ掃討作戦だった」として、「米国はテロとの戦争を行いながら、ユーゴでは犯罪とされる。私は、国家と人々をテロから守ろうとしたために、はりつけにされている」と述べた。
前大統領の狙いは、一連の旧ユーゴ、コソボ紛争への米欧諸国の関与を指摘すると同時に、NATO空爆の被害者としての立場を強調することで、裁判を「勝者の裁き」として糾弾することにあると見られる。
(2月15日00:16)