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ブッシュ・ジュニアの性格分析を一時、シリアルキラーもので流行ったプロファイリングの手法を真似て、試みてみよう。
ブッシュ・ジュニアに何か強烈なトラウマ（心理的傷）があるのは確実だ。それがブッシュ・パパへのファザー・コンプレックスだ、というのではあまりに平凡だ。「自分が知的な面で偉大ではないこと」、しかし、大統領を生んだ家系の長男であること、これが心理的葛藤の大きな原因と思われる。ブッシュ・パパがテキサスのガソリンスタンドかハンバーガーショップの店長あたりだったら、ブッシュ・ジュニアもそこそこハッピーだったのだろう。人当たりが良く、スポーツ好きで、そこそこの宗教心もあり、「シンプルだがいい奴だ」と周囲に言われるマッチョ・ガイというのが、ブッシユ・ジュニアの”理想”だったのだろう。
まあ、しかし、このイメージは少し、単純化し過ぎか。州知事時代からのエンロンとの付き合いで、ロビイストや政商らについては、熟知していただろうし、大統領選では、弟のジェブが知事だったフロリダで、ゴア支持者が多いとみられる貧困地区の投票箱を開けもしないまま、海に捨てていたことも知っていたのだから。
劣等生、チーマーまがいがある日、”回心（オリエンテーション）」”すると、普通の人以上の理想主義者や宗教的狂信者になることがある。長年のコンプレックスが、逆のドライビングフォースとなって、その人の人格を、一種の極端主義者（エクストリミスト）に押しやるのだ。年頭教書などでしきりに、ファナチックな愛国主義的言動、十字軍的使命感を披瀝しているのは、こういう傾向の発露かも知れない。
もうひとつ、大統領になってからのトラウマとしては、以下の事実があるのではないか。
もともと、勤勉ではないブッシュ・ジュニアは、しんどかった選挙が終わって、大統領に就任してからは、執務に集中せず、レーガン同様に、大半の懸案処理を「司司」に任せていた。その中にビンラディンのイスラミスト・インターナショナルやタリバン、さらにはパレスチナ情勢の情報と対処案もあったが、「イスラムのことなど、オレの知ったことか」と無視していた。しかし、９．１１アタックが起き、自分の怠慢、無知のツケのあまりの大きさ、大統領辞任をもたらしかねない衝撃力に、いきり立って「米国が世界で完全に孤立しても、テロリストは殲滅してやる」と逆上したいるーというところか。「悪の枢軸」発言もこうした「以上な昂揚感」の産物でもある――。
まあ、もちろん、プッシュ･パパやテキサスの石油・エネルギー、軍事産業、共和党タカ派などの影響も無視できないので、こうした「心理学」のみでは全ての”ナゾ解き”ができるわけでもないが。
ンオサマ・ビンラディンについては、こういう俗流心理学的分析はしにくい。なにしろ、これほど宗教に身がらみになっている人間は、日本には、ほとんどいないからだ。池田教やかっての麻原教の熱狂的信者が近いかも知れないが、ムハンマドと池田や麻原ではタマが違い過ぎる。
ビンラディンらアクティブ・イスラミストから感じるのは、視線が「過去」に向いている、という点だ。かってのアラブ過激派（ＰＦＬＰなど）の場合は、マルクス・レーニン主義、民族解放社会主義路線を掲げていたため、現実性があったかどうか、は別にして、「パレスチナ解放」といった近未来の政治目標スローガンがあった。しかし、ビンラディンらの「イスラミスト・インターナショナル」運動は、イスラム教の高僧が９．１１アタックをどう評価し、どういうファトゥワを出したか、といった「イスラムの教義に照らしての正当性」の評価に全ての関心が向いているように思える。宗教運動なのだから、当然とも言えるが、やはり「一種の逆十字軍」、西欧近代文明、社会を根底から覆そう、という「逆十字軍」の色彩が強い。正確には、全世界をイスラム化しようとしているわけではなく、イスラム圏から、欧米を追い出そう、というのが当面の目標なのだろうが。従って、ジョージ・ＷＷ（ダブヤとテキサスでは発音するそうですが）・ブッシュがどう否定しても、今回の戦いは「テロリスト対文明国家」ではなく、「文明の衝突」なのだ。もちろん、ブッシュもこのことは分かっていながら「二枚舌」を使っているのだろうし、イラクや北朝鮮への米国の攻撃が起きれば、今の対テロリスト包囲網が崩壊し、イスラムというより「白人対非白人」という対立図式がより鮮明になるだろう。そこで「白人より白人らしい」といわれる日本はどういう立場を取るのか。
ＰＳ：最近、ＷＷさんの投稿がありませんね。しばらく前の「論争ともいえぬ低次元の論争」で誰かが、ＷＷさんらを「日本語のうまい在日」と中傷していましたが、そんなこと、全く気にする必要はない、と思います。アメリカ人からみれば、中国も韓国も日本も”イスラムでないアジア人”というカテゴリーでひとくくりですし。まあ、仕事が忙しくて、投稿する暇がないのかも知れませんが。今後とも鋭い分析を期待しています。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。