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【北京・浦松丈二】中国が新疆ウイグル自治区からの分離・独立を目指すイスラム系ウイグル族勢力の「国際テロ犯罪」を指弾し、包囲網を狭めている。政府はウサマ・ビンラディン氏との関わりを強調した批判文書を発表し、周辺国とも捜査協力を急ぐ。2月下旬のブッシュ米大統領訪中を控え、中国当局の激しいテロ批判は国内の引き締めにとどまらず、対米攻勢の狙いもありそうだ。
国務院(政府)新聞弁公室は21日に「東トルキスタン・テロ勢力の逃れがたい罪状」と題した長文の批判文書を発表した。これまでも国内報道などで批判を強めていたが、政府の報告書として出されるのは初めてだ。
文書によると、ビンラディン氏が99年初めにウイグル族独立組織「東トルキスタン・イスラム運動」の指導者と会見し、資金援助と引き換えに「あらゆる活動」をウズベキスタンの過激派やタリバンと協調して行動するよう要求した。
また同氏は01年2月にはタリバン幹部とカンダハルで協議し、同勢力への訓練、資金援助の分担を決め、武器弾薬、交通手段、通信施設を提供した。訓練後、同勢力は中国国内やアフガニスタン、チェチェン、中央アジアなどで活動。99年にキルギスで起きた日本人技師4人の人質事件にも同勢力のテロ分子が関わったと指摘した。
同勢力は90〜01年の間に新疆地域で200件余りのテロ事件に関与、162人が死亡した。一方、当局はアフガンなどで訓練を受けて潜入した100人以上を捕らえ、関係国から10人以上の引き渡しを受けたという。
いずれも明確な証拠を示したものではないが、同勢力の活動が国内に止まらず、周辺諸国にも脅威を与えていることを強調している。
一方、独立運動弾圧には欧米を中心に批判的な見方も根強く、昨年11月に訪中した国連人権高等弁務官事務所(UNHCHR)のロビンソン高等弁務官は会見で「反テロ闘争といえどもバランスが必要だ」と述べ、懸念を表明した。米政府もチベットなど少数民族の運動をテロとみなすことには慎重だ。
中国は同時多発テロ後、テロ対策のなかで中央アジアなど周辺国との協力を重視する。今月7日にはロシアと中央アジア諸国(タジキスタン、キルギス、カザフスタン、ウズベキスタン)でつくる「上海協力機構」の臨時外相会議を北京で開き、近くキルギスに「反テロ機構」を設置して過激派に対処することを決めた。
また23日にはアフガン暫定行政機構のカルザイ議長(首相)を中国に迎え、同勢力の活動家がアフガン国内で捕まった場合に身柄の引き渡しを受ける約束を取り付けた。新疆の西側を取り囲むように協力網を築き上げたことになる。
「国境を越えるテロ」を共通の敵とした中国と周辺国との結束には、アフガン戦後も中央アジア地域への部隊駐留を続ける米国をけん制していく狙いもありそうだ。
●新疆の分離・独立派を巡る中国当局の対応●
2001年
10・21 上海APECで反テロ声明
27 反テロ関連2条約を批准
12・29 刑法改正でテロ犯罪の処罰を強化
02年
1・7 上海協力機構の臨時外相会議で反テロへの取り組み強化
21 政府新聞弁公室が批判文書を発表
23 アフガニスタンのカルザイ首相と朱鎔基首相が身柄引き渡しで合意(毎日新聞)
[1月29日7時11分更新]