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01/25 16:28 むせび泣き、怒る住民たち アチェ独立派司令官の埋 外信67
【チュボ(インドネシア・アチェ特別州)25日共同=米元文秋
】曇り空の下、畑の片隅の土まんじゅうの前で、女性たちのむせび
泣きが続く―。インドネシア・アチェ特別州の独立派武装組織「自
由アチェ運動」(GAM)のアブドラ・シャフィ最高司令官(53
)が二十四日に埋葬された同州ピディ県チュボ村。住民が悲しみと
怒りをかみ殺し、喪に服していた。
人口約千五百人のチュボ村は幹線道路からつり橋を渡り、車で一
時間弱、牛やヤギが遊ぶ水田が連なる風景は、日本の農村を思わせ
る。薬売りから独立運動に身を投じていた司令官は一九八四年にこ
の村の女性と恋に落ち、結婚した。
畑の片隅に細長い土盛りが四つ。二十二日の国軍の急襲で殺され
たシャフィ司令官と妻、護衛二人が眠っている。この簡素な墓を、
白いジルバブ(髪や首を覆うスカーフ)をまとった女性たちがひっ
きりなしに訪れ、コーランを唱える。
「つらい。しかし、神がお決めになったこと…」。司令官の母シ
ティ・ハウアさん(80)が絶句し、女性たちに体を支えられた。
「家族思いのいい兄でした」。妹のファティマさん(43)のほ
おを涙が伝う。自分の六歳の男の子を見ながら「兄の闘いを引き継
ぐかどうかは、子供たち自身が決める。敵討ちを無理強いはしない
」と話した。
農民のアルミアさん(36)は「国軍兵士は司令官らの遺体を指
さして『こいつらは牛だ。人間ではない』と言った。司令官の奥さ
んは胸に刃物で拷問された跡があった。妊娠五カ月だったというの
に」と憤る。
国軍の急襲を受けたとき、司令官のそばには妻と護衛六人しかい
なかったという。国軍の掃討作戦強化でGAMは分散して潜伏する
ことを強いられているようだ。司令官は生前、東ティモールやコソ
ボの独立運動のように国際社会から注目される夢を語っていたが、
果たせずに終わった。
幹線道路には紅白のインドネシア国旗が目立つ。「掲揚しないと
国軍や警察に家を焼かれる」と住民は言う。道端の兵士は、通行す
るミニバスを止め、運転手から金を要求していた。
ピディ県に駐留する西ジャワ州出身の国軍兵士は「昨年四月にこ
こへ来たとき、幹線道路でもGAMが爆弾を投げていたが、今はい
ない」と胸を張った。
(了) 020125 1627
[2002-01-25-16:28]