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【イスラマバード19日若松篤】
軍事的緊張を続けるパキスタンとインドの関係は、パウエル米国務長官の両国訪問などをへて当面の危機を脱したといえる。だが、相互に要求を突きつけ合い、両軍部隊が戦闘準備を整え対じする現実に変わりはない。
メンツをかけ「先に行動を」と求める両国の緊張状態は、係争地カシミールなどで大きなテロ事件が起きれば再燃しかねないという危うさをはらみ続けている。
パキスタンのムシャラフ大統領は十八日、米CNNに「私は(対話再開のために)いろいろとやってきた。今度は(インドの)バジパイ首相が動きを見せるべきときではないか」と語った。
パウエル国務長官が十八日、インドで「両国は対話再開と信頼回復への道にあるが、前進にはさらに行動が必要だ」と語ったことについて、パキスタンでは「インドが行動する番だ」との受け止め方が強い。
パキスタンはインドに対し、インドのパキスタン人テロリストの拘束、引き渡しなどのほか、係争地カシミールの実効支配線(停戦ライン)や国境に増強された軍部隊の撤退を求めている。
これに対し、インドは昨年十二月のインド国会議事堂襲撃事件の容疑者とする二十人の引き渡しを求めている。ただ、うち十四人のインド人の引き渡しで妥協するとの姿勢も示唆している。
パキスタン政府に近い消息筋は「カシミールの反インド・イスラム過激派への取り締まりなどは実施されている。インドは軍部隊撤退という行動を示すべきだ」と言う。
同筋によると、パキスタン政府はインド人容疑者引き渡しについて検討を進めており「数週間かかる」という。一方、インドでは、二月中旬に主要三州での議会選挙があり、それまでは軍部隊撤退などの譲歩はバジパイ政権にとってマイナスという事情がある。
このため「過去一週間の外交努力で緊張は緩和されつつある」(ムシャラフ大統領)ものの、両国が引き渡しが先か、撤退が先かと「行動」を求め合う中で、緊張したこう着状態は当分続きそうだ。