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【イスラマバード17日=黒沢潤】
インド、パキスタンの両国は、先月十三日のインド国会襲撃事件をきっかけに、“臨戦態勢”を敷いているが、長期化すれば、両国経済を圧迫する事態にもなりそうだ。パキスタンにとっては、対米協力で得た経済制裁解除とアフガニスタン復興という好転のチャンスをみすみす逃すことにもなりかねない。
両国国境ではインドが四十万−五十万人、パキスタンが三十万−四十万人の兵力を張り付けており、一触即発の印象は免れない。
印パ両国は九八年の核実験実施で、米国などの経済制裁の対象となり、パキスタンの場合、九九年の軍事政権誕生で制裁はさらに強化された。パキスタンの対外債務は約三百二十七億ドル(二〇〇〇年六月)にのぼる。また、米軍などによるアフガニスタン攻撃による経済的損失は、約三十億ドルと見積もられている。
一方、パキスタンは対米協力を通じて、経済制裁は解除され、これまでに約十億ドルの支援を国際社会から受けた。しかし、この十億ドルを勘定に入れても、現在の臨戦態勢を一定期間維持すれば、最終的に五十億ドルの損失が出る−との試算も出ている。
アフガン攻撃で、対米協力を選択した冷静な対応は企業にも好感されたはずで、制裁解除や、各国が支援に乗り出す隣国アフガン復興など、経済的な好材料がそろいつつあった。だが、インドとの対立先鋭化で、イメージは悪化の一途をたどっている。
経済事情の厳しさはインドも同じで、両国の経済事情に詳しい軍事筋は「ともに経済改革を推し進め、世界の最貧国の一つという現状から脱却しようとしている。戦争に突入すれば改革は頓挫し、五十年前の状況に逆戻りするということぐらい十分認識しているはずだ」と指摘する。その意味では、双方は緊張緩和の落とし所を探っているともいえる。