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【イスラマバード16日=黒沢潤】
パウエル米国務長官は十六日、南アジア歴訪の最初の訪問国パキスタンの首都イスラマバードで、ムシャラフ大統領、サッタル外相と会談、パキスタンとインドの緊張緩和問題などを中心に協議した。先月十三日のインド国会襲撃事件以来、印パ両国は国境に兵力を集結させ緊張が高まっているが、消息筋によると、ムシャラフ大統領が長官に対し「インド軍が撤収すればパキスタン軍も撤収する」との意向を表明、長官は賛同したという。
ムシャラフ大統領は会談でまず、十二日に発表したイスラム過激派五団体の徹底取り締まり策を説明。国際的なテロネットワーク壊滅を目指すパウエル長官は、パキスタンの過激派対策を高く評価した。
ムシャラフ大統領はさらに、仮にインドがパキスタンを攻撃した場合、アフガニスタン攻撃の拠点として米国に使用を許可している国内四つの空軍基地をパキスタン側に明け渡すよう要請。これに対し、パウエル長官は「印パの緊張関係が次第に緩和されてきており、現時点で明け渡す必要はないと思う」との見解を述べたという。
また、消息筋によると、パウエル長官はアフガニスタン問題に関しアフガン東部からパキスタン領内に逃亡してきたテロ組織アルカーイダの兵士の捕捉のため、パキスタン領内での越境捜索を許可するよう要請した。
パウエル長官は十七日、インド入りし、バジパイ首相とも会談する予定だが、インド側はこれまで、パキスタンの「越境テロ」がやまない限り、国境の兵力を撤収する意思のないことを重ねて強調している。
もともと両国の対立の原因となっているカシミール問題でも、ムシャラフ大統領が米国の介入を要請しているのに対し、インド側は「二国間の問題」として、米国など第三国による仲介を一切拒否するなど強硬な姿勢を見せている。このためインドに対する説得が、歴訪の成否のカギとなりそうだ。
長官は、十七日にアフガニスタンの首都カブールを訪問したあとインド入りし、十八日にネパールも訪れる。その後、東京で二十一日から始まるアフガニスタン復興支援会議に出席するため、日本に向かう。