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ブッシュvsフセインの“因縁の対決”に待った−。米同時テロ事件以来、現実味を増す一方だった米国のイラク攻撃。年末には、米有力メディアが具体的な地上軍の展開計画を報じ、一時は「時間の問題」とされたが、ここに来て米政権内でトーンダウンしているのだ。一体、どんな事情があるのだろうか。
「次はバグダッドだ!」。アラビア海に停泊する米空母セオドア・ルーズベルトの視察に訪れていた共和党のジョン・マッケイン上院議員は9日、洋上でこう叫んだ。
マッケイン議員の“雄たけび”は、米議会タカ派のフラストレーションを象徴している。9月のテロ後、米政府は何度となくイラク攻撃を検討してきた。
当初は「まずアフガン」の慎重論に押されていた強硬派だが、アフガンの戦局が劇的に進展したことで、再び前面に登場。年末にはニューズウイーク誌がイラク攻撃は「時間の問題」とし、「米地上軍5万人を南国境に、5万人を北国境に配備し、バグダッドに両側から攻め入る」との具体的計画を報じ、「いよいよ」のムードが漂った。
だが、年が明け、対イラク強硬派の代表選手ウルフォウイッツ国防副長官がニューヨーク・タイムズ紙のインタビューで、対テロ戦争の次の標的を「ソマリア、イエメン、インドネシア、フィリピン」とし、イラクは「最近おとなしくしている」と除外。イラク攻撃ムードは、遠のいてしまったのだ。
米国にとって、イラクは言うまでもない宿敵。軍事面で業績をあげ、再選を狙いたいブッシュ大統領にしても、イラク攻撃は「前向き」な目標のはず。それがトーンダウンした背景には、いくつかの事情があるとみられる。
まずは、イラクと関係が深いロシアだけでなく、英国でさえイラク攻撃に反対する可能性が高いこと。当初、ラディンとイラクのつながりを探していた米国だが、今も具体的証拠はなく、「対テロ」で世界の結束を強調したい米国には「単独では攻撃しない」(軍事筋)との見方が有力だ。
また、イラク攻撃は大規模になりかねない。ニューズウイーク誌も「南北5万ずつ」では足りないと指摘。湾岸戦争以上の規模になるともみられている。
だが、イラクにはアフガンの「北部同盟」にあたる勢力がない。米政府はイラクでも「アフガン型」の戦略を踏襲し、反政府勢力の支援を模索していたが、5日、米国務省はイラク反体制組織「イラク国民会議」への財政支援を打ち切ったことを明らかにした。
さらに、周囲を見回せば核戦争に発展しかねないインド・パキスタン情勢や、パレスチナ情勢も緊迫。
そして、何より当のフセイン大統領=写真=が、米国の挑発に乗ってこないのだ。ラディンとの関連をつかめない米国は、国連による大量破壊兵器の査察受け入れに応じない場合の攻撃を示唆しているが、イラクのサブリ外相は9日、アラブ紙に米国との話し合いは「拒まない」との談話を寄せている。英ガーディアン紙もイラク専門家の話として、「サダムは今、内政に夢中」と報じている。
こうした事情などから、米国はイラク攻撃の時期を慎重に見極めているようだ。
ZAKZAK 2002/01/12