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【ジュネーブ大木俊治】永世中立国スイスで、3月3日に行われる国連加盟の是非を問う国民投票に向け、賛成・反対両派のキャンペーンが始まった。最新の世論調査では賛成派がやや上回っているが、結果は予断を許さない。投票日まで約2カ月間、国内を2分する議論が展開される。
国連加盟を推進するスイス政府は8日、フィリガー大統領が、ダイス外相、シュミット国防相とともに首都ベルンで記者会見。「国際社会での孤立を防ぐため国連加盟は必要」と支持を求め、承認を得るための活動を開始した。
一方、「中立を守れ」と国連加盟に反対する右派団体「独立と中立のスイスのための行動」のブロッハー代表(国民党下院議員)は7日、ベルンで開かれた集会で反対キャンペーン開始を宣言。「国連の決定は事実上、大国の意思に左右されている。国民の血税を国連につぎ込むべきではない」と論陣を張った。
昨年12月の世論調査では、回答者1017人の57・2%が国連加盟に賛成、29・7%が反対。しかし、保守的な傾向が強い東部ドイツ語圏では、賛成は54・6%にとどまっている。国連加盟が承認されるには全投票者の過半数の支持に加え、23州の過半数で賛成票が過半数を制しなければならないため、きわめて微妙な情勢だ。
武装中立を建国以来の国是とするスイスは、国連専門機関には加盟し、国連の平和維持軍にも兵士を派遣してきたが、国連自体への加盟は拒否。86年の国民投票でも国連加盟を否決した。冷戦崩壊後、政府や議会、財界を中心に「国連加盟は必要」との声が強まっているが、国民の間ではなお慎重な意見が根強い。昨年6月に行われた国連平和維持活動(PKO)に軍部隊を派遣することの是非を問う国民投票は、辛うじて承認されたものの反対が49%を占めた。
[毎日新聞1月10日] ( 2002-01-10-22:41 )