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【ワシントン布施広】
ウルフォウィッツ米国防副長官は8日付ニューヨーク・タイムズ紙との会見で、アフガニスタン攻撃後の「テロとの戦争」の対象になり得る国として、ソマリア、イエメン、インドネシア、フィリピンを上げた。対イラク強硬派として知られる副長官がイラク攻撃をあえて短期的な目標に含めなかった点が注目される。
副長官によると、米国は現在、米軍の支援を歓迎するフィリピン、インドネシアとテロ対策で協力する一方、ソマリアやイエメンのテロ組織に注目している。特にフィリピンのアブサヤフは、ウサマ・ビンラディン氏の組織アルカイダとの関係が深く、米国は軍事顧問団や特殊部隊の派遣を通じて、同国政府を支援する方針だ。
また政府機能が弱いソマリアについて、副長官は「アルカイダが逃げ込む候補国であるのは明らかだ」と述べ、中央情報局(CIA)などがソマリア情勢を監視していることを認めた。副長官は軍事行動の次の対象国は明確に言えないとしながら、イラク攻撃には慎重な姿勢を示した。
こうした副長官の微妙な態度の変化について同紙は、国防総省が「アラブや欧州同盟国との摩擦」を考慮し、「イラクのように強大で(攻撃に)政治的な難しさが伴う標的を先送りした可能性がある」と分析している。副長官は従来イラク攻撃に積極的で、パウエル国務長官ら慎重派と対立していた。
アフガン攻撃後にフセイン・イラク政権の転覆を目指す構想は、米議会共和党などが支持。民主党は「現時点での攻撃は誤り」(ダシュル上院院内総務)と反対している。ロシアや欧州もイラク攻撃には反対するものとみられ、仮に攻撃に踏み切れば、多くの米兵の犠牲覚悟の作戦になる。
進行中のアフガン攻撃では、米国民が期待するビンラディン氏拘束のめどは立っていない。副長官は、アフガンでの「戦果」が乏しい現状で、イラク攻撃の機運をあおっても国民の支持は得られないと判断、慎重姿勢に転じたとの見方もある。
[毎日新聞1月8日] ( 2002-01-08-18:37 )