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政府は31日、日本に対する直接の武力攻撃や大規模テロ、災害などに対処するため、首相権限の強化や非常事態における私権制限の原則をうたった「安全保障基本法」(仮称)を制定する方針を固めた。緊急事態の規定がない憲法を補完し、自衛隊活用を柱とした迅速で効果的な対応策を取れるようにするのが狙いだ。
非常事態下では首相がこれを認定し、宣言することも検討する。これにより、日本有事やテロなどの際の総合的な法整備が本格的に動き出すことになる。
防衛庁はこれまで、日本が直接武力攻撃を受けた日本有事が発生し、自衛隊が防衛出動する際の「有事法制」の研究を進めてきたが、小泉首相は米同時テロを契機に包括的な対応策の確立が急務と判断、21日に召集される通常国会の施政方針演説で基本法制定方針を表明し、早期提出を目指す考えだ。
昨年の米同時テロや武装不審船事件は、自爆行為や武器の質的向上などにより、国家以外の組織でも国の安全保障を揺るがすような新たな脅威となることを示した。「安全保障基本法」は有事の概念を広くとらえ、こうした非常事態に対応するため、自衛隊出動をはじめとした政府の対処方針を定めるものだ。
具体的には、〈1〉首相が安全保障会議を通じて各閣僚を統括し、政府が一体となって危機や非常事態に対応できる体制を作る〈2〉国民の義務、私権の制限と憲法の基本的人権とのかかわりをはっきりさせ、基本権を尊重する〈3〉国民の避難・誘導や私有財産の損失補てん、戦争捕虜の取り扱い――などを盛り込むことを検討している。また、日米安保条約に基づいて自衛隊と共同行動する在日米軍の行動についても、日米地位協定改定と合わせ、基本法で規定する方向だ。
首相の権限を強化するのは、不審船事件などの反省から、日本有事や非常事態では、警察と自衛隊、海上保安庁と自衛隊の役割分担、民間航空機と自衛隊機の空域など各省庁の調整に、首相の指導力が必要との判断からだ。
防衛庁は日本有事への対応について、自衛隊法など防衛庁所管法令(第1分類)、道路交通法、道路法、河川法、医療法など他省庁所管法令(第2分類)、捕虜の取り扱いや国民の生命・財産保護など所管省庁が不明な法令(第3分類)に分類し、順次整備する方針だった。しかし、私権制限につながる事項が国民の反発を招きかねないことから、具体化に至っていない。
このため、政府は基本法を根拠に、日本有事や非常事態の対応に必要な個別の関連法整備を精力的に進める方針だ。私権の制限については、有事の際に自衛隊や在日米軍の陣地設営に私有地を提供するという所有権、占有権の制限などを規定すると同時に、その際は国会の関与や裁判所の事後審査などを義務付け、国民の基本権を尊重する。
また、道路法、医療法など関連法を改正するほか、日本の領海、領空侵犯に対応する「領域警備法」、テロ活動を資金面から抑え込む「マネー・ロンダリング(資金洗浄)防止法」などの制定も検討課題とする。