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「ノーム・チョムスキー:インタビュー:ザック・デ・ラ・ロッチャ」
☆ザック・デ・ラ・ロッチャ
Rage Against The Machineという アメリカの反体制バンドのボーカル:詩を書いている:
彼らの2枚目のアルバム名は”悪魔の帝国”
このインタビューは Rage Against The MachineのDVDに収録されていたもの
☆メキシコのNAFTAとグローバリゼーションについてのインタビューですが
米国のやり口がとてもよくわかるし チョムはんの解説が簡潔で小気味いいので
ご参考まで...
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ノーム・チョムスキーは今話題の知識人だ。
彼の本を読んで グローバリゼーションの仕組みや 市民への影響を勉強した。
彼が言語学を教えるMITで話を聞いた。
ザック:
まず NAFTAのことから質問させて下さい。
思うに北米自由貿易協定のついた嘘とは「協定で市民が利益を享受できる」というもの。
メキシコの安い製品で 米国の消費者が得をし 生活水準があがり メキシコへの通貨流入が雇用を生み出し お互いがうるおうと。でも実際の事態は逆です。
そこで最初の質問は NAFTAの本当の目的と 本当の効果です。
チョムスキー:
あまり論議する必要もないくらい 効果はあらわれていますね。
うたい文句は全部嘘で 法案を通すための物です。
だが協定は商業的枠組みに組み込むためで これは「ネオリベラル構造調整プログラム」と呼ばれ
80年代初頭 メキシコに押し付けられた「改革」で 外国品輸入に門戸を開かせ 助成金を削減させ
国内の経済成長の努力を阻害するものです。国外の搾取を容易に許し 独自の発達を頭打ちにする。
これで経済はアメリカに組み込まれます。
普通 協定を結べば 他の政府とメキシコなら簡単には破棄できないが アメリカは好きな時に破棄できるのです。
組み込まれる以前には 協定締結前の1990年頃に見ておくべき背景があります。
計画段階のワシントンに 「ラテンアメリカ戦略発展研究会」というのがあって
米国・メキシコ間の関係を検討していたが 彼らには一つ懸念があり こういう言い方をされていた。
「危険なのはメキシコに民主主義が始まる危険性だ」
「より民主的な政府がアメリカの関与を独自に 駆逐しようと試みる事」
つまり独裁的政治が続けばいいが 本当の民主主義が始まっては困る。
メキシコの国民が彼らの利益を求めはじめたらね。
だからその「危険」の芽を摘み 国の成長を阻害しておく方法が「経済の組み込み」なのです。
こうしておけば民主政治が確立し メキシコ国民が声をあげはじめても 協定で押さえ付けたので
安心ということ。それがNAFTAの論理です。
国民への影響ですが 改革期から賃金は減り続け 今ではNAFTA発行時2〜3割減です。
NAFTAでメキシコ国境を開けさせれば 助成金付きでアメリカの農作物が流入し
メキシコの貧しい農民が職を失った。
こういう影響が社会全体に対してあります。地方の貧しい人びとの職が失われた結果
人は都市に集まりより低賃金の職に就く。大量労働力の一部となるしかないのです。
組合も保険もなく 賃金は勝手に下げられ 企業の利益のみが追求される仕組みです。
だから企業やメキシコの国庫にはいいが 国民には害ばかりです。
ザック:
メキシコの話ですが NAFTA調印の少し前あたり まだネオリベラル政治に組み込まれる前
サリーナス政権は熱心に準備していたようで 農民に土地の権利を保障したメキシコ憲法27条を
事実やぶっています。
NAFTA発行の日に出現した サパティスタ民族解放軍を解説してください。
チョムスキー:
彼らはNAFTAに抵抗するために蜂起しました。
「NAFTAに対する新しいレコンキスタ」と称し 奪われる資源・土地・希望を回復する運動です。
メキシコの革命には 多くの進歩的な面がありました。
現実は置いておいて 農民に土地を提供したのもその1つであり 基本的に堅実ないいシステムでした。
NAFTAはそれを破壊するもので アメリカの安い農作物の流入で 貧乏な農民は土地から追われた。
容易に想像できた結果です。
ザック:
グローバリゼーションの進行に対する反応として シアトルやDCの抗議活動がありますが
これらを通じて 大きな金融機関などの存在を知った人びとに向けて グローバリゼーションを説明して下さい。
世界貿易機関WTOや 国際通貨基金世界銀行などの役割は?
チョムスキー:
グローバリゼーションは世界統合のための方法で この特殊な方法で得をするのは一部の人間
投資家と金貸のみです。彼らの利益を目的としたもので 世界貿易機構が支配すれば 自由貿易というより
保護貿易とのミックスであり WTOを考えた者の利益になるよう巧妙に考えられた仕組みです。
大企業や銀行 投資会社などが相互に金をやり取りし 恩恵を受けるシステムであり
それ以外の効果は単なる偶然。人を傷つけようという意図はなくても その効果は成長を鈍化させ
不公平性を増して 環境災害を引き起こすなど。
そこでシアトルの抗議は 人びとの利益を意図しない地球の統一化に対し 世界的に抗議運動が盛り上がっているのです。
ザック:
あなたが書いていらした”ロールバック”の概念ですが これは大企業がさまざまな国に進出して巨大な利益をあげ 近代確立された市民権を脅かすものです。
メキシコを例に取ると 土地改革の機関設立のために 何100万の市民が死んでいます。
子供達に土地を残すために命をかけて。
共同で土地が持てたのにNAFTAの発効でそれも変わってしまうでしょう。
しかしメキシコの市民がもっとも長く闘争し獲得したのが無料教育の権利です。
グローバリゼーションの進行する中 世界銀行が大学の民営化をメキシコ政府に求めましたが
何故そうなるんですか?
チョムスキー:
基本は同じく人民に金を払わせるため。金持ちは援助金を受けますが
ルールを押し付けられる一般人には 水道代も教育費も保険も払わせようということです。
「お前は人間なみの価値だ」ということ。この人間の価値とはネコ以下で ネコだって権利はあるし拷問されない。
でもただの人間なら市場へ行って 子供に水も買えないなら死ねということ。
文明社会では普通の市民は 水も保険も仕事も移動手段もあり 生活にある程度の選択の余地が許されるはず。
それができない社会もあるでしょうが アメリカのような裕福な社会では あって当然の権利です。
でも当然でないどころかありもしない。教育費が払えなければ金持ちだけが教育を受ける。
市民が買えない分は金持ちが買い 金持ちにだけ市民の血税から援助金が出る。
教育システムへの攻撃もまた経済へのものと論理は全く同じです。
健康な社会において大学は危険な機関であるべきです。何が正しいのかを問い続けるべきですから。
知識を得る事で疑問が生まれます。その危険を少なくし疑問を持たせない事。
それが教育攻撃の目的です。
ザック:
時間です ありがとうございます
チョムスキー:
また話そう