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【ワシントン布施広】
アフガニスタンでの軍事行動が峠を越す中、米軍が「テロとの戦争」の第2幕としてイラクを攻撃するとの観測が強まってきた。24日発売の米誌ニューズウィークは、ブッシュ政権が対イラク軍事行動の方針を固め、計10万人以上の地上軍を動員すると報じた。しかしパウエル国務長官らは慎重な態度を保っており、しかもイラクが国連の大量破壊兵器査察に応じた場合は、軍事行動の大義名分がなくなる。米国が実際にイラク攻撃に踏み切るかどうかは流動的な情勢だ。
ニューズウィーク誌によると、米政府はイラクのフセイン政権を倒す方針を固め、「いつイラクを攻撃するか」に重点が移りつつある。米統合参謀本部は、イラクの南北に各5万人の米軍を配備し、イラク中央部(バグダッド地域)に二つの部隊を送るシナリオを検討しているという。
具体的には、クウェートとトルコに地上軍を配備し、特殊部隊をバグダッドに投入する計画とみられ、トルコのエチェビット首相が来年1月に訪米して対イラク攻撃について米政府と協議するという。トルコは従来、域内が不安定化する懸念からフセイン政権打倒には難色を示しており、賛成に転じたかどうかは明らかでない。
また20日付の米保守系紙ワシントン・タイムズも、空爆と大規模地上軍による攻撃と、イラク反体制派の側面支援を組み合わせた攻撃計画が進行中だと報じた。しかしパウエル長官は21日付ワシントン・ポスト紙との会見で、アフガニスタン攻撃の作戦を直ちにイラクに適用することはできないと指摘しており、既にイラク攻撃の方針が固まったとの報道には疑問もつきまとう。
米国内では、パウエル長官らがイラク攻撃に慎重、ウルフォウィッツ国防副長官らが積極的とされる。米議会では民主党のダシュル上院院内総務が「現時点のイラク攻撃は誤り」と断言しており、イラク攻撃の是非をめぐる国論は分裂状態。アフガン攻撃を支援した欧州諸国やロシアも、イラク攻撃には反対に回る可能性がある。
さらに、イラクはこれまで査察の受け入れと拒否を使い分けてきただけに、攻撃の理由を失わせるために突然、査察受け入れを宣言することもあり得る。イラク攻撃の政治的環境が整ったとは言いがたく、しきりに流れる「攻撃計画」は、イラクに査察を受諾させる威かくとの見方も根強い。
[毎日新聞12月24日] ( 2001-12-24-19:31 )