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(回答先: Re:不審船:乗組員約15人不明 海保が全員の姿を見失う [毎日新聞] 投稿者 あっしら 日時 2001 年 12 月 23 日 03:28:03)
[読売新聞]
追跡30時間、荒海の銃撃戦…撃ち抜かれた巡視船
鹿児島県・奄美大島沖の東シナ海上を逃げていた国籍不明の不審船は22日、30時間に及ぶ追跡劇の末、海上保安庁の巡視船に対し、銃撃するという衝撃的な事態に発展した。海上保安官2人がけがを負い、沈没した不審船から海上に飛び込んだ乗組員約15人は23日午前零時ごろには姿を消したという。不審船は北朝鮮の船の可能性が高く、海保は25隻の巡視船と14機の航空機を投入、対テロの特殊警備隊も現場に急行させる態勢を敷いた。しかし、防衛庁と海保の連携や作戦にスキはなかったか。反撃に対する備えは十分だったのか。多くの課題が残る結末となった。
追跡劇が急転したのは、午後10時9分。約10回に及ぶ船体射撃を受けながらも逃走を続ける不審船に対し、巡視船「あまみ」と「きりしま」の2隻で挟み撃ちにする作戦を開始した直後だった。
不審船のブリッジ後部で、毛布にくるまって隠れていた2人の乗組員が突然、立ち上がり、接近していた両船と、周辺警戒に当たっていた巡視船「いなさ」の計3隻に、自動小銃か13ミリ機銃と見られる銃器で乱射を始めた。
不審船の右側から近づいていた「あまみ」は、ブリッジが狙われ、海上保安官2人が右腕や左手に銃弾が当たり負傷した。
「いなさ」はアルミ製の船体を撃ち抜かれ、3基のメーンエンジンのうち1基が停止。「きりしま」もエンジンルーム近くの船体を撃たれた。「あまみ」は船内の照明がすべて消えた。
「いなさ」はすぐに正当防衛のため、不審船の船体に向けて、20ミリ機関砲を撃った。銃撃戦は約3分間に及び、不審船は同13分、横転して沈没。乗組員約15人は海に投げ出され、巡視船が救助にあたったが、姿が見えなくなった。
不審船発見の情報は、21日午後4時すぎ、海上自衛隊哨戒機P3Cから、鹿児島県の海上自衛隊鹿屋基地に速報された。P3Cは周囲を旋回しながら写真を撮影。同日午後5時には一度基地に戻った。現像された写真を見ると、甲板上に網などの漁具がまったくなく、エンジンが前部に搭載されたように傾く特徴があった。
連絡を受けた福岡海上保安部や長崎海上保安部では22日未明、乗組員らを非常招集。すぐに、巡視船などを出動させた。
長崎海保の巡視船「いなさ」が不審船を確認したのが同日午後1時前。現場はくもり、17メートルの北西の風がふき、うねりは4メートル。時速十数キロで逃げる不審船を巡視船4隻が追尾する。
韓国語、中国語、英語や信号弾などによる停船命令を無視し、ジグザグ航行する不審船は、「いなさ」の左舷に接触し、同船の側面部分にへこみができた。
同2時36分から、「いなさ」は20ミリ機関砲で、上空や海面に威嚇射撃を繰り返した。
同4時16分、「いなさ」は警告のうえ、船尾をねらって射撃。「みずき」も同4時58分、機関室があると見られる船首を狙い、船体射撃を加えた。射撃した二隻の船長には、海上保安庁長官から「船長判断で船体射撃を行ってもいい」と伝えられていた。
同5時24分に出火した不審船の上では、乗組員たちが海水で消火活動をしている姿が見えた。
ところが、不審船は鎮火後、速度を時速約28キロに上げ再び逃走。その後、減速した不審船に「きりしま」が接舷し、巡視船4隻が取り囲んだ。大きく揺れる不審船の甲板上では、乗組員が鉄パイプを振り回し、海上保安官の乗船に抵抗した。同9時22分、再び無灯火で動き出した不審船を、巡視船2隻が挟み撃ちで捕そくを試みたが、反撃を受けた。
◆事態急転、対応に追われる官庁◆
船体射撃、出火、被弾、沈没――。めまぐるしく動く事態に、内閣危機管理センターがある首相官邸別館には、幹部があわただしく出入りを繰り返した。海上保安庁では緊迫した記者会見が続き、防衛庁も情報収集に追われた。
■首相官邸
「後で後で」。不審船が逃走を続けた22日夜。事態のこう着状態を受けていったん、内閣危機管理センターから引き揚げていた安倍晋三官房副長官は午後11時半ごろ、緊迫した表情で再びセンターに戻り、不審船の国籍を尋ねる記者団の質問をかわした。杉田和博・内閣危機管理監らも続々とセンター入り。政府高官の1人は23日午前零時25分、「北朝鮮の船の可能性が強い」と繰り返した。
■海上保安庁
海上保安庁の坂本茂宏・警備救難部管理課長は午後11時から記者会見し、不審船の沈没原因について、「まだ分からない」と前置きした上で、「自沈するということも考えられる」と述べた。
不審船側からの攻撃については、「13ミリ機銃というのはすごい火力だ。その辺のけん銃とは違う」と強調し、反撃の船体射撃について、「正当防衛であり、適切な業務執行。保安官の生命を守るためのぎりぎりの選択だった」と語った。
また、2隻の巡視船による挟み撃ち作戦については、「不審船に乗り込むためではなく、停船させて最寄りの港にえい航するのが目的だった」と説明した。
■防衛庁
21日午後の段階で、いち早く不審船を発見していた防衛庁では、東京・市ヶ谷のA棟地下3階にある中央指揮所に、内局運用局担当者や海幕幹部自衛官らが詰め、現場上空の哨戒機P3Cや海保からの情報収集に当たった。当初は、一昨年3月に能登半島で発見された工作船に類似していると判断しながらも、幹部の大半は「海上保安庁の活動を見守りたい」として自宅待機の態勢をとっていたが、深夜になって、不審船との銃撃戦という知らせが飛び込み、対応に追われた。
不審船沈没との一報には、待機している海自の幹部自衛官は、「負傷した海上保安官らは気の毒だが、荒波の中で、職務を粛々と遂行したのだろう」と話した。
(12月23日02:15)
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[毎日新聞]
不審船:「北朝鮮の船の可能性高い」 政府筋
鹿児島県・奄美大島の近海で22日発見された不審船は、海上保安庁の停止命令に従わず逃走を続け、海保の巡視船は20ミリ機関砲で不審船に船体射撃を行った。不審船は、同日夜までに4度にわたって停船したものの、巡視船に向けて発砲、これに応戦して巡視船が銃撃したところ、午後10時13分、沈没し、乗員約15人が海に投げ出された。巡視船の係官も2人が重傷を負った。不審船の国籍について政府筋は23日未明、「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の船の可能性が高い」との見方を示した。
負傷したのは、巡視船「あまみ」の金城良武航海長(49)▽長友良治航海士(54)。2人は左腕などを撃たれているが命には別条はないという。不審船の乗員は巡視船が救助にあたっている。
政府筋は北朝鮮の工作船とみられる根拠として(1)自爆して船を沈没させ、全員が海に飛び込んだ可能性があること(2)ジグザク航行で逃走する手口(3)船の型(4)使用した銃――を挙げている。
不審船は全長約30メートル。船橋左舷に「長漁3705」と書かれ、漁船を装っているが、日本漁船とは登録番号などが違うという。
海保による船体への射撃としては、1953年に北海道・宗谷海峡沖で領海内に侵入したソ連工作船に対し正当防衛として拳銃などを撃った例はあるが、追跡中の不審船を機関砲で射撃したのも、沈没したのも今回が初めて。沈没地点は中国の排他的経済水域内の東シナ海だった。
不審船からの発砲は午後10時9分、不審船を挟み込むような形で監視を続けている巡視船に向けてあり、「あまみ」「きりしま」「いなさ」が被弾し、「いなさ」が応戦、不審船のブリッジに向けて銃撃した。船は、同12分に半没、同13分、沈没したという。
不審船は同日午後0時48分、同島の西北西約324キロ、日本の排他的水域内の洋上で海保の巡視船によって確認された。停船命令を無視して西に向け7〜10ノット(時速13〜18キロ)で逃走、その際、ジグザグに航行し、巡視船「いなさ」の左舷に接触もした。
巡視船は20ミリ機関砲で不審船の上空や周辺海面に向け威嚇射撃を行ったが、不審船は逃走をやめず、同4時16分に船尾へ、同5時23分には船体前方の機関室があるとみられる場所に銃弾を命中させた。不審船は甲板から火災を起こして停船したが、乗員が消火作業を行い、鎮火後、再び逃走した。その後も停船と逃走を繰り返していた。
この日夜の現場海域は、北西の風12メートル、波のうねり3メートル、雨という悪天候で、巡視船はいったん不審船に接舷したものの、乗り込むことは避け、特別警備隊の到着を待っていた。
海洋法条約では、沿岸国に「継続追跡権」が認められている。自国の排他的経済水域内で見つけた不審船を追跡して他国の排他的経済水域に入ることも認められ、そこで不審船側から攻撃を受けて負傷者が出れば、国内法を適用し、傷害、殺人未遂、公務執行妨害の容疑が適用できることになる。海保は今回の事態について「船体射撃は、海上保安庁法20条に基づくもので、再三にわたり停船命令を行い、射撃の際にもどの部分を狙うと警告した上で射撃しており、手続き、正当性には問題はない。沈没につながった銃撃は正当防衛だ」と説明している。 【衛藤親】
[毎日新聞12月23日] ( 2001-12-23-01:33 )