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【イスラマバード22日=岡田滋行】
インド政府が21日、国会襲撃事件(13日)を理由に駐パキスタン大使の召還を決めたことに対し、パキスタン外務省報道官は同日夜、大使召還は遺憾であるとしたうえで、パキスタン政府は対抗措置を取らないとの声明を発表した。異例とも言える自制の背景には、テロ組織「アル・カーイダ」の侵入阻止とインド軍への対応という東西両国境での「二正面作戦」を迫られたパキスタン軍の苦境がある。
パキスタンの軍事戦略は、アフガニスタンに親パキスタンのタリバン政権を据えることによって安定した西部国境という「戦略的深さ」を保ち、東隣の大国インドに対抗することを基本にしてきた。タリバン政権の崩壊で、インドに近い北部同盟が主導権を握った今、この戦略は根本的な見直しが必要とされている。
国会銃撃戦を理由に、インド政府は、軍事作戦も辞さない意向を表明しており、パキスタンは、「史上初めて、東西の2つの正面で危機に直面した」(クレシ大統領報道官)からだ。異例の自制の背景には、新戦略が見いだせない現状で、必要以上にインドを刺激することは得策でないとの判断がある。
インド軍が国境地帯に部隊を移動し始めたとの情報もあり、米軍のアフガンでの掃討作戦に呼応し、アル・カーイダの侵入阻止のため、アフガン国境地帯に配置している正規軍約5万人と国境警備兵を急きょ、東部国境へ空輸することなどを検討している。
パキスタン国内では、タリバン政権崩壊後、急速に国際的発言力を低下させたムシャラフ大統領に対し、ベナジル・ブット元首相が20日付けの地元紙への寄稿で、「パキスタンはバスに乗り遅れた」と厳しく批判するなど、風当たりが強まりつつある。中国を訪問中のムシャラフ大統領は、今後、軍事戦略の見直しをはじめとする多くの難題への解決を早急に迫られることになりそうだ。
(12月22日20:39)