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12/19 16:04 次期標的説に困惑の比国民 米のアブ・サヤフ掃討支 外信62
共同
アフガニスタンのタリバン政権崩壊で米政府は次の対テロ戦争の
標的をフィリピンのイスラム原理主義過激派アブ・サヤフに絞り始
めたとされる。だが米軍基地を撤退させた歴史をもつフィリピンの
国民には、国内での米軍の軍事作戦にアレルギーが根強く、相次い
で到着する戦闘服姿の米軍事顧問団に疑心暗鬼だ。
アブ・サヤフは、アフガニスタンで軍事訓練を受けたアブドラク
・ジャンジャラーニ氏が一九九一年、イスラム国家の分離独立を目
指して南部のホロ島に設立、現勢力は約八百五十人。
ウサマ・ビンラディン氏の軍事キャンプにゲリラを送り込んだほ
か、ニューヨークの世界貿易センタービル爆破事件(九三年)で逮
捕されたテロリストにミンダナオ島で爆破テロの訓練を受けたとさ
れる。
だが、九八年にジャンジャラーニ氏が死亡するとイデオロギー色
を弱め「テロリスト集団化した」(アロヨ大統領)。誘拐を繰り返
し一千万ドルの身代金を得て武装化を進めたとされ、現在、バシラ
ン島で米国人ら三人を人質にしている。
アブ・サヤフ掃討作戦が新段階に入ったのは九月の米中枢同時テ
ロ後。米国がテロ包囲網の対象にアブ・サヤフを指定。十一月二十
日、ワシントンでのアロヨ大統領との会談でブッシュ米大統領は一
億ドルの軍事援助を決め、既にC130輸送機一機を供与した。
ブッシュ大統領は「アロヨ大統領が望むあらゆる方法でアブ・サ
ヤフ壊滅に協力する」と戦闘部隊の派遣も示唆した。だが、両国間
には相互防衛条約があるものの、九二年の米軍基地撤退後、国内で
の米軍の活動には国会の同意が必要。
米誌ニューズウィークが「次の標的はフィリピン」と報じ、掃討
作戦支援の米軍事顧問団が十二月に入ってミンダナオ島に姿を見せ
ているが、アロヨ大統領は「ブッシュ大統領に訓練と実戦の一線を
画したいと話し、理解を得られた」と強調。ミンダナオ島サンボア
ンガとバシラン島にキャンプを設置し、一月半ばからグリーンベレ
ーなどが対ゲリラ訓練を行う予定だ。
フィリピン大のベン・リム教授(国際政治)は「米国の安全保障
の傘の下で発展した日本を見習いたいアロヨ政権と、アジア戦略上
、フィリピンに再注目した米国の思惑が一致した。アブ・サヤフは
フィリピン軍の装備、能力向上だけでも制圧可能」と指摘する。
こうした中、米軍の積極的な動きに、バヤンなど左派系の市民団
体は「作戦はジャングルの中で行われるので、もし米軍の部隊が参
加しても分からない」と懸念を表しており、国民の間にも、米軍の
活動でバシラン島などがアフガニスタンのような戦場になることへ
の不安が広がっている。(マニラ共同=桑原正樹)
(了) 011219 1603
[2001-12-19-16:04]