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【モスクワ14日=伊熊幹雄】
ロシアのプーチン大統領は13日夜、米政府の弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約脱退決定に関して、特別テレビ演説し、「決定は間違っている」と批判する一方、米露の現在の友好関係を維持し、新たな軍縮合意を目指すよう求めた。
プーチン大統領は、演説の中で、「今回の決定は、予期しなかったことではない」と、すでに織り込み済みであるとした上、「ロシアの国家安全保障に脅威を与えないと衷心より信じている」と述べ、ロシアの脅威にならないと強調した。
プーチン大統領はさらに、「米露の現在の2国間関係の水準が維持されるだけでなく、(良好な関係を基に)戦略面での協力の新しい枠組みを作るべき」と述べて、米露が核兵器劇的削減など、新軍縮合意に動くよう求めた。
またプーチン大統領は、次期軍縮合意について「(戦略核弾頭数を)双方1500から2200の水準に削減すべきだ」と提案した。核弾頭数については、ブッシュ大統領が先月の米露首脳会談の際、「双方1700から2200」の水準まで削減を提唱した。露側も従来、1500を削減のめどに掲げていたが、プーチン大統領自身が具体的削減目標を提案したのは初めて。
プーチン大統領の演説は、ブッシュ政権の決定に異議を唱えながら、ロシアは新状況に十分対応できるとした点で、米国との妥協の道を探っている。ロシアは以前、ABM制限条約を盾にミサイル防衛(MD)網絶対阻止の姿勢だったが、プーチン政権は最近、MD構想容認に傾いており、この日の演説でも、容認姿勢は明白だった。
この背景には、「現状の技術では、露軍のミサイルを完全に封じ込めることは無理」との見極めがある。
またロシアは、「MDを導入するなら、米側は露側より大幅な核軍縮をすべき」と主張しており、プーチン大統領がこの日の演説で触れた「新しい枠組み」は、MD配備を念頭においた新軍事バランス構築を求めたものだ。
(12月14日11:06)