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ブッシュ米大統領がABM条約からの脱退を通告
米国は13日、弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約から一方的に脱退することを
ロシア政府などに通告した。ブッシュ大統領が同日、発表した。ミサイル防衛(MD)
計画の本格推進に踏み出すためで、冷戦期の72年に旧ソ連と締結して以来、両核大国
の抑止力の均衡を維持してきた条約体制は消えることになる。「力の均衡による平和維
持」という世界の安全保障の枠組みを米国が単独で変えかねない決定で、中国や欧州な
ど各国が懸念を強めるのは確実だ。
ブッシュ大統領はホワイトハウスで13日朝(日本時間14日未明)、声明を発表
し、「ABM条約はテロリストや『ならず者国家』から国民を守る手段を妨げるとの結
論に達した」と表明。ロシアとは、核報復の力を持ち合う「相互確証破壊」から「相互
協力」の関係へ移るとし、「条約脱退でロシアの安保は損ねないことをプーチン大統領
と合意した」と述べた。
米政府は同日、ロシアのほか、条約を継承したウクライナなど旧ソ連諸国の3カ国に
も脱退を通告した。条約の規定により、正式な脱退は通告から6カ月後になる。
条約脱退により米政府は、来年からMD計画を加速させる。これまで規制されていた
海上や空中発射のミサイル迎撃兵器を使った実験も行い、来年後半からアラスカ州に司
令センターなどの基地建設にも本格着工。04年には限定的な初期配備を実現させたい
意向だ。
米政府は9月の同時多発テロ後、予定されていた条約の範囲内のMD実験を一時延期
したが、大統領は今月11日、イラクや朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)など「なら
ず者国家」やテロ組織によるミサイル攻撃に備える必要性が明白になったと表明してい
た。
MD計画の影響をめぐっては、米国の防衛網をかいくぐる抑止力を持とうとする他国
の核ミサイルの軍拡を誘発するとの懸念が指摘されている。とくに米ロに比べて小さい
核攻撃力しか持たない中国の対応が注目されており、日本など周辺国に強い懸念材料と
なる。
また、日本は、MD計画の一部である戦域ミサイル防衛(TMD)の開発で米国と共
同技術研究を進めており、米国の今後の計画にどう関与していくかも問われる。
ブッシュ政権は今年1月の発足後、戦略核兵器の削減とMD計画を組み合わせた国防
態勢をめざす方針を表明。ロシア側は核の大幅削減には合意したが、条約は堅持する姿
勢を保ってきた。(01:32)