投稿者 ごろた石 日時 2001 年 12 月 06 日 00:55:22:
(回答先: Re: はじめまして 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 12 月 05 日 23:40:50)
>その一方で、アメリカはカリブ海やアラスカの油田開発を進めることによって、仮に戦力の空白地帯となった中東地域の油田が壊滅したとしても困らないようなシフトを推し進めていた。
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資源の効率利用が育む「新資源」
――アラスカ野生保護区の開発は必要ない
http://www.foreignaffairsj.co.jp/intro/0110amory.html
エモリー・B・ロビンス/ ロッキーマウンテン研究所研究担当最高経営責任者
L・ハンター・ロビンス/ ロッキーマウンテン研究所戦略分析担当最高経営責任者
野生保護区の開発の必要はない
この一世紀にわたって石油価格は変動し続けてきた。だが、石油開発推進者たちは、この事実など気にかけることもなく、石油の高価格が未来永劫続くことを前提に「一儲けする機会がある」とあちこちで説いて回っている。そうした楽観主義者の典型がアラスカの政治家たちだ。アラスカ州政府の一般歳入の八〇%以上が石油収益に依存していることもあって、議員たちはアラスカ州の「逆所得税」、つまり、低所得層の収入を一定レベルに引き上げるための社会給付の財源を確保しようと、一九七三年以降、石油価格が高騰するたびに、連邦所有地である北極野生保護区(ANWR)内の沿岸平原の採掘を求めてきた。一方、環境保護論者は、この地域は自然がそのまま残されている大切な場所だし、生活を脅かされている先住民グウィッチンの生活拠点でもあるとして、開発に反対してきた。野生保護区での石油採掘が国際法上、人権問題となる可能性もあるし、アラスカの自然をアメリカと共有しているカナダも採掘に反対している。
だが、開発の支持・反対派ともに、「石油開発のために野生保護区内の沿岸平原を採掘することが経済、エネルギー安全保障から見て、はたして意味があるのか」という重要なポイントを見落としている。結局のところ、国のエネルギー政策は、経済効果、安定供給、環境への影響を基準に決められるべきもので、実際に開発を検討する場合には、最低でも開発案がこれらの基準の一つを満たしている必要がある。
採掘に反対する人々は、野生保護区内の石油試掘は経済効果、安定供給面での基準は満たすが、環境に悪影響を与えると考えている。だが実際には、野生保護区の開発は環境問題を伴うだけでなく、経済効果、安定供給面での条件を満たすのも難しい。野生保護区の原油が経済的に大きな効果を持つとは考えにくく、採算がとれるとしても、アラスカ野生保護区の油田開発は着工から十年を経た段階で、アメリカの石油輸入依存度を一時的にわずか数パーセント低くする程度だろう。また、野生保護区が大量の天然ガス資源を持っているわけでもない。ブッシュ政権はこの点をめぐって最近何度か声明を発表したが、ノーススロープ(アラスカ州北西部、ボーフォート海に面するツンドラの沿岸平原)の主要な天然ガス資源地域は野生保護区の外に位置しており、政府の声明はピントがずれている。野生保護区外にある豊かな天然ガス埋蔵地帯はすでに民間の開発に委ねられており、環境保護論者もノーススロープにガス用のパイプラインを敷設することには反対しないだろう。だが建設コストは百億ドルに達すると試算されており、経済的うまみを引き出せるかどうかは不明である。
◇Amory B. Lovins & L. Hunter Lovins それぞれ物理学者、政治学者であるロビンス夫妻はコロラド州スノーマスに非営利の応用研究センター「ロッキーマウンテン研究所」を共同設立し、それぞれ研究担当最高経営責任者、戦略分析担当最高経営責任者として中心的役割を果たしている。米国防総省のエネルギー安全保障分野のアドバイザーだった両氏はメジャー系石油会社のコンサルタントを務めている。