投稿者 あっしら 日時 2001 年 12 月 04 日 20:05:27:
今この危機的状況のなかでイスラエルを統治しているシャロン首相は、1982年9月に起きた「パレスチナ人難民キャンプの虐殺事件」の首謀者であり、住宅(国家)基盤相として、パレスチナ自治区での“入植活動”(パレスチナ人からの土地の強奪)を国際社会(アメリカ政府さえ)の反対をはねのけてまで強硬に推し進めてきた張本人である。
昨年秋に首相に選ばれてからも、オスロ合意の“否定”を政策の基盤に置き、さらに強硬な対パレスチナ自治区敵視政策と“入植地拡大”を推進してきた人物である。
シャロン首相は、“入植地”をさらに拡大するため、激しい憎悪を心に生存権と自己の尊厳をかけて対抗するパレスチナ人からの攻撃の危険をも顧みず“新天地”確保に狂奔してくれるだろうと考えるロシアや東欧からの移住者拡大を画策してきた。
子供をあまり産まない支配的イスラエル人という現状では、強固な“防衛体制”を築くために、外からユダヤ教徒を大量に流入させなければならない。
先月ロシアを訪問したシャロン首相がもっとも強くプーチン大統領に要求したのは、より多くのユダヤ教徒をロシアから出国させることであった。
イスラエルへの移住者の拡大は、その性格から、イスラエルに“拡張”衝動をもたらすものである。移住者が“イスラエル領土”で生活基盤が持てないのであれば、イスラエル軍がパレスチナ自治区を武力で蹂躙して“入植地”を確保しなければならない(と思う人たちなのだ)。そこは、当然、人が生活を維持できる条件の土地であり、そこで生活していたパレスチナ人は暴力で追い立てられ、都市に逃げ込むしかない。
イスラエルは、このような「土地強奪活動」を国家政策として長年にわたって行ってきた。
というより、イスラエル国家の成り立ちそのものが、そのような「土地強奪活動」に拠るものである。(ユダヤ人が購入した土地もあることを認めるが、それは国家の樹立を認めることにはならない)端的に言えば、私的軍事組織のテロリスト活動で土地を強奪し続け、それをベースにイスラエルなる国家を樹立し、その後も国家テロによって土地の拡大を追求し続けてきたのである。
イスラエルは、そのような政治的シオニストの悪逆非道な活動から生まれた根っからの「テロリスト国家」である。
パレスチナは、政治的シオニストが時として主張するような、大勢のユダヤ人が困難辛苦に耐えてようやく収穫の地に変えることができたという“神話”を認められるような荒れ地の国土ばかりではなかった。今、“入植”対象になっているところにそのような土地が多いだけである。果実や穀物の生産に適した土地が多くあり、収穫物を大量に輸出できるほどであった。そのような土地をごっそり政治的シオニストがテロ活動で奪った結果が現在の姿なのである。
シャロン政権のように、“イスラエル領土”には既に残った生活基盤の土地がないという状況のなかで移住者の拡大をはかっていくという愚かな政策をとり続け行けば、その行く末は一つしかない。
パレスチナ自治区で悪い条件ながらも生活基盤に出来る土地をまずさらに強奪し、それが無くなったら、本当の「パレスチナ」(“イスラエル”+パレスチナ自治区)からさらに外に“進出”し、対象を見出さなければならなくなる。それが、ヨルダンになるのか、レバノンになるのか、それはわからない。
さらに言えば、“近代文明国家”を標榜するイスラエルには石油資源がない。
ひとの土地を暴力で奪い取ることになんのためらいも持たないシャロン政権が、石油資源に惹かれ、それを強奪する行動に出ないという保証はない。
しかも、“不幸なこと”に、2、3歩進めば、そこにはイラクやサウジアラビアという豊富な石油資源を抱えるアラブ国家が存在する。
そこにある石油資源を、なんとか国際的非難を浴びずに、浴びたとしても軍事的に対抗されることなく手に入れたいという衝動をシャロンが持っているとしても何ら不思議ではない。
とりわけイラクは、アメリカから「テロ支援国家」・「大量破壊兵器保有国」という難癖以下のレッテルを貼られ、“文明世界”もそれに大きな異を唱えていない(はっきり言えば、同調している)格好の“標的”である。
シャロン政権は、テロリストに対する戦いを宣言し大虐殺軍事行動を起こしたブッシュ政権にならって、パレスチナへの大虐殺軍事行動を発動しようとしている。
そうであるならば、シャロン政権が、「国際的対テロ行動」を錦の旗として、イラクを米英とともに攻撃することは決して夢想とは言えないだろう。
アメリカの支配層は、9・11空爆テロ以降、サウジアラビア政権への批判を強めている。サウジ王室の非民主性や宗教的原理主義をあげつらい、サウジ王室の打倒や「サウジの間接支配から直接支配への転換」を公言する人々までいる。このようなアメリカ支配層の動きに、シャロン政権が心動かされないままでいられるだろうか?
これまで何十年にもわたって行われてきたパレスチナの地での政治的シオニストのテロ活動に終止符を打つか、中東全域を“パレスチナ問題”にしてしまうことを許してしまうのかの岐路に世界は立たされているのである。
まずは、今回のパレスチナ自治区に対する虐殺策動を押しとどめることが最重要課題である。
日本政府そして世界の諸国政府は、今まさに新たに始まろうとしている大虐殺活動による“大イスラエル”の噴火を、“単なる”対テロ報復攻撃だと見誤っているのではないかと危惧せざるを得ない。
今この時点で、口先は別として強欲のためには人を人とも思っていない政治的シオニストの暴挙を止めなければ、後戻りが出来ない大災厄を人類にもたらすことになる。
ブッシュ政権のアフガニスタンでの大虐殺軍事活動を支持してきたことが、今回のシャロン政権の暴挙を誘引したのである。
日本社会は、この期に及んで、なぜ、こんなにも平穏な姿をさらし続けているのだろう...。