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投稿者 dembo 日時 2001 年 12 月 04 日 10:43:25:


■1ヵ月で1200億円以上
 米紙N・Yタイムズは今月12日、今回の軍事報復の戦費を報じた。それによると、地上戦を含む軍事行動の拡大で今後は少なくとも月10億$(約1200億円)が必要で、さらに急増することも確実視されている。加えて約5万5000人の予備役を本土防衛に充てるための人件費も月2億$に達する。このため国連総省は議会に対し「来年1月までに人権費、燃料費などで計38億$かかる」との見通しを伝えたという。
 細かい内訳ははっきりしないが「1ヶ月で10億$以上」という額について、軍事評論家の野木恵一氏は「600億$を費やしたといわれる湾岸戦争に比べると驚くほどの額ではないと指摘する。
 米上院は9月11日の同時多発テロ発生から3日後、戦費や報復費として400億$(約4兆8000億円)の緊急支出を承認した。さらに米財務省は12月半ばから「パトリオット・ポンド(愛国者国債)」という名称の戦争国債を発行することを決めている。米政府が戦争国債を発行するのは第二次世界大戦以来のことだ。

■1発1億4400万円
 米政府は軍事報復に関して使用している兵器の種類数 詳細な攻撃内容を公表していない。
その中で、比較的詳しく伝えられているのは空爆初日10月7日の攻撃についてだ。英軍とともに米軍はこの日アラビア海域に展開する空母「カールビンソン」や「エンタープライズ」を中核に、巡洋艦や潜水艦などから巡洋ミサイル「トマホーク」を計50発発射したとされている。
 「トマホーク」は湾岸戦争で初めて実戦使用されてハイテク兵器。米国防省は空爆開始直後、800基を増産する方針を決めている。総額は9億6000万$。単純平均で1基当た120万$(約1億4400万円)になる計算だ。
 今回の空爆ではこの他、カーナビと同じ原理を持つ全地球測位システム(GPS)やレーザーによる誘導爆弾も使われている。GPS誘導爆弾は通常の爆弾にGPSキットを装備して使用するが、その値段は1万8000$(約216万円)程度。レザー誘導爆弾は重さ2000ポンド(約907$)のもので5万5600$(約667万円)という。
 ただ、こうしたハイテク兵器も百発百中ではない。ミサイルや誘導弾の命中精度は「半数必中界」という尺度で示されるが、これは100発を最大射程で撃ったときに、半数が着弾する範囲を半径の長さで表す。「ミサイル辞典」の著書がある情報システムコンサルタントの小都元氏によるとトマホークの半数必中界は10m程度。100発撃った場合、50発は半径10mの範囲から外されるという。命中精度は天候にも左右され人的ミスによる誤爆も少なくない。小都氏は「地図や目標物の特定が謝っていればミサイルや誘導弾がどんな正確に飛んでも誤爆になる。百発百中はあり得ない」と指摘する。

■軍産複合体
 軍事報復に使われる兵器の価格はどの程度なのか。参考までに主な爆弾や戦闘機、空母の価格を表にまとめた。表にはないが米会計検査院の資料によると「ミニッツ」級の最新式原子力空母の場合、建造費は40億5900万$(約4871億円でこれに23億8200万ドル(約2858億4000万円)の装備が必要になる。維持費も加えると総額は222億2200万$(約2兆6666億円)にもなる。原子力空母一隻の誕生から解体までの費用がほぼ日本の今年の第1次補正予算規模に相当する。
 小都氏は「アメリカの兵器開発は、目的実現にその兵器が必要ならば、ほとんどか金に糸目をつけない。軍産複合体によって巨額の費用を投じて開発された技術が最終的に民間に還元されるという視点があるからだ」と指摘する。
 また、野木氏によると試作段階では複数の企業に競争させるが発注先の要求に応じて費用の増額を認めるケースもあるという。軍服や軍靴をはじめ食料品や衛生用品など軍人の日常生活に必要な資材もまた国防予算で賄われており、野木氏は、「日本でも防衛庁に登録されている企業は2000社以上ある。米国は万の単位に上るだろう」


 このため米国では軍事産業の利益を代弁する政治家が少なくない。大きな軍事基地や軍需企業を選挙区に抱える議員は国防予算をいかに誘導してくるかを考えるようになる。「日本の国会議員が地元に道路を作る感覚で米国では兵器や軍備品の発注に政治家が動く」(野木氏)という。小都氏は「戦争を行なうということが社会システムの中に組み込まれているといっても過言ではない」と指摘する。

■生き残りをかける軍産複合体
 湾岸戦争後の5年間で、米国は国防予算を1割強削減た。そのため兵器企業は生き残りのためにすさまじいM&A(企業合弁、買収)を繰り返し現在はボーイング▽ロッキードマーチン▽レイセオン▽ノースロップグラマンの4社が圧倒的なシェアを占める寡占状態になっている。
 米国防総省は10月26日、次世代主力戦闘機「JSF」をロッキード社に3000機発注した事を明らかにした。「JSF」の製造費は1機につき最高3800万ドル(約46億
円)。ロッキード社には今後数十年にわたり、総額2000億$(約24兆円)が入る計算だが受注競争に敗れた他社は戦略の練り直しを迫られることになる。
 半面、兵器輸出では米国は圧倒的なシェアを誇っているのも事実。野木氏によれば冷戦前から現在まで一貫して世界の45%から50%を保っているという。91年の段階ではロシアが18%を占めていたが湾岸戦争で同国製の最新兵器が西側製の兵器に太刀打ちできなかった事から94年にはシェア3.5%に落ち込んだ。
 こうした経緯が実証されれば米国の兵器企業は絶好の売り込み材料になる」と指摘し、小都氏は「兵器は実戦で使われる中で日々、改良が加えられ進化する。兵器企業にとって戦争はこのうえないチャンス」と話す。

■30ポイント近く下がった購買意欲
 同時多発テロ直後、ほとんどの産業が株価を下げた中で軍需産業株はレイセオン社の27%を筆頭に大幅に跳ね上がった。しかし湾岸戦争の際には、先行き不透明感が投資家や消費者の心理を萎縮させ、株価の下落や個人消費の減退をもたらした。今回の同時多発テロ発生後の現象が懸念された。実際、米国の民間シンクタンク「コンファレンス・ボード」が消費者アンケートを基にまとめている【消費者信頼指数】もテロ前の114から10月には85.5まで下がっている。この指数は消費者の購買意欲が高いほど数字が高くなるがテロの前後では30%近く、下がった計算だ。クリスマス商戦を控えその影響が懸念されている。
 第1生命経済研究所の川崎真一郎主任研究員は「月10億$程度の戦費では経済波及効果は期待できない。湾岸戦争の際も景気が回復したのは攻撃終了後だったし今回も軍事行動が終わらない限り、景気は回復しないだろうと思う」と話す。

■≪主な兵器の価格≫

レーザー誘導爆弾667万円
GPS誘導爆弾(キット)216万円
バンカーバスター爆弾1747万円
BLU82爆弾(デージーカッター)328万円
F14A戦闘機46億6000万円
F15C戦闘機51億6000万円
FA18E戦闘機72億円
AC130U攻撃機86億4000万円
B2Aステルス爆撃機2520億円
空母エンタープライズ540億円(58年建造)
空母カールビンソン2400億円(75年製造)

オサマビン・ラディンの賞金30億円(アフガニスタン人の平均年収25万年分)

■FAS(全米科学者連盟)のサイトから。1$120円で換算

毎日新聞11月26日朝刊2面特集ワイド【高木諭】


☆月10億$程度の戦費では経済波及効果は期待できない...だからもっとってか?
 

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