アメリカさらに暴走、か?   「日本・アラブ通信」 阿部政雄

 ★阿修羅♪

[ フォローアップ ] [ ★阿修羅♪ ] [ ★阿修羅♪ 戦争・国際情勢4 ]

投稿者 転載 日時 2001 年 11 月 22 日 22:16:17:

回答先: 世界の諸国家とUNはなぜブッシュ政権のイラク攻撃公言を非難しないのか 投稿者 あっしら 日時 2001 年 11 月 22 日 21:31:22:

アメリカさらに暴走、か?  「日本・アラブ通信」阿部政雄


 アメリカがアフガニスタンの次にイラクを攻撃するだろうと言うことは当然考えら
れることでしょう。

とにかく、オサマ・ビンラディンがアメリカでの連続テロ事件の真犯人である証拠
も提示せず、早々とアフガニスタンの空爆に踏み切ったのは、アメリカの倉庫に眠る
兵器の一掃を図ろうとしたのが、北部同盟の予想外のカブールへの急進撃によって、
アメリカの落そうと目論んでいた量のミサイルや爆弾が落とせなくなってしまったこ
とも一つの要因でしょう。

 20付けの日刊現代は、日本には、今度は「ショウ・ザ・フラッグ」ではなく、
「ショウ・ザ・マネー」を旗印に、アフガン空爆の費用の勘定書を日本にまわしてく
るだろう、その総額は4兆円を越す金額だろうとか書いてありました。小泉首相がブッ
シュ大統領に「全面協力する」と約束したから、アメリカ側としては妥当な金額と考
えているというのです。1兆円余の日本のODAの総額が多すぎると言うので1割近
くも削減しようとしている現在、4兆円の拠出金など開いた口が塞がらないばかりか、
アフガニスタンの罪のない人々を殺した殺戮費用をどうして日本人の税金から出さね
ばならないのか、怒りが込み上げてきます。こんな費用こそ、ウハウハ儲かったアメ
リカの軍需産業が払うのが筋ではないですか。そう思いませんか。

 湾岸戦争の時に1兆3000億円を拠出させ、あっまっさえ自衛隊を送らなかった
から日本は一国平和主義だと勝手な宣伝をして日本の軍国主義化への路線転換を図っ
た実績に味をしめ、今度は、日本に金も人も出させて、日本そのものを弱体化、隷属
化を加速させようという恐るべき策謀なのである。

 これと関連して紹介したのは、次の一文です。

  日本の政治家たちは「カネだけ出して血や汗を流さず、国際社会でバカにされた
  湾岸戦争のトラウマ」を口にする。だが、「(湾岸戦争当時、米国が)日本、ド
  イツ、サウジアラビア、クウェートから召し上げたカネを合計すると、米国が湾
  岸戦争に消費した金額を50%近くも上回る。ドイツの外相はこれを発見し、まだ
  戦争も終わらぬうちにワシントンに乗り込み、数字の解明を迫り、追加支払いを
  拒否した」(ワシントン在住のメディア・ウォッチャー)事実は日本ではほとん
  ど報じられていない。バカにされたのは、「カネだけ出して口も出さない」アイ
  デンティティ喪失の卑屈な態度ではなかったか。今度は「カネも血も汗も流すが
  口は出さない」でブッシュの「新しい戦争」=国連憲章にも国際法にももとづか
  ない「手前勝手でやりたい放題のならず  者の戦争」に加担しようとしている。
(         友人の甲斐良治氏のメールより)

 アメリカからこんな勘定書が回ってきたら、「それは、儲けたアメリカの企業が、
払うのは当然で、アフガニスタンを元の姿に復旧する費用も全額戦争を仕掛けた国が
責任を持つのが当然。費用さえ出してもらえば、日本は引き受けることにやぶさかで
ない」ぐらいの胸のすく獅子吼を熱血宰相、小泉ライオンにしてほしいと思っていま
す。小泉さん!頑張ってと肩でも叩きたくたい思いです。日本男児小泉の見せ所と言っ
てもいいでしょう。第2次大戦中に亡くなった戦没者の鎮魂にもなるでしょう。

 今、アメリカは、タリバン後のアフガニスタンの政局が、元国王を元首とする親米
政権の樹立というシナリオが狂ってしまい、そうこうしている間に、あの連続テロそ
のものが誰か実行したのかと世界の詮索が本格的に始まるの前に、なんとしてでも、
世界の人々の耳目を衝動するような事件を次々とつくり出す必要に迫られているので
す。世界の人々がこの根底に南北問題があるなどに目覚めてしまえば、手に負えなく
なるでしょう。


 今、この原稿を書いていている横で、テレビが炭疽菌に掛かった患者のことを報道
していることを伝えています。これから、アメリカはこの炭疽菌騒動を、一つは、先
に言った連続テロの真犯人探しに向かうの煙幕を張ること、2つ目には、巧く行けば
イラクのせいにして叩く空爆の材料にしていこうという意図も込められているのでは
ないか。

 とにかく、今アメリカがこのイラク空爆の問題をほめめかし始めているのは、イラ
ク空爆に国際世論、とりわけ、穏健派のアラブ諸国がどう反応するかを見定めるため
の観測気球を打ち上げているのです。

 では、アメリカがイラク空襲に執拗にこだわる理由は、冒頭に述べたように、アフ
ガン空爆では、予想外に兵器を消耗させることが出来なかった誤算、端的に言えば、
一発2億円もするようなミサイルを湾岸戦争なみにじゃかすか、落とせなかったと言
うアメリカの軍需産業の欲求不満がブッシュを後ろからせっついているというのが真
相でしょう。アメリカに「戦争が儲かるビジネス」だということに自身をつけさせて
しまっては、人類の未来はないのです。背広を着こなした野獣と人間との関ヶ原の決
戦です。しかし、彼らの数は地球に住む、人類の中のごく少数派です。平和と人間的
な生活を求める人々が結束すれば、素晴しい未来が展望できるでしょう。今極限の危
機に人類は立たされていますが、われわれの怒りの人類の明るい未来像を建設するエ
ネルギーに転換しましょう。危機こそ、一つのCHANCEです。

 以下の文章は、湾岸戦争の背景をする素晴しい名著であるラムゼイ・クラーク(元
アメリカ司法長官)著『湾岸戦争ー今、戦争はこうして作られる』を出版した地涌社
の月刊誌の中で同書の感想を書いたものからの抜粋です。

     中東和平の危機とイラク制裁
        背景に中東地域の支配目指すアメリカ 

 あの世界を震撼させた湾岸戦争の真相も西欧のマスコミの情報だけを信じるととん
でもないことになる。 
 「米国政府は、イラクがクウェートに侵攻したから湾岸戦争が起こったと主張する
。・・・だが、米国の湾岸諸国へのかかわり合いを注意深く見てみると、湾岸戦争の
主要な責任は、イラクにではなく米国にあることが分かる。この戦争は、イラクの最
初の軍隊がクウェートに侵入するはるか以前から米政府により計画されていたのであ
る。」(第一章 米国による湾岸支配の計画)といった書出しで始まるラムゼイ・ク
ラーク元米国司法長官の『湾岸戦争ー今戦争はこうして作られる』は、綿密な踏査に
基づた資料を駆使しアメリカの驚くべき戦争犯罪を浮彫りにしている。事実はスリラー
小説よりも戦慄的だ。

 アメリカがかくも執拗にイラクを破壊しようとする原因は、要するに、アメリカは
世界の石油埋蔵量の11%〜15%を持つというこの国を支配下に収めたということ
に外ならない。もっと、はっきりいえば、膨大な利潤を生む安価な石油をイラクやリ
ビアに勝手に自国やアラブの経済発展に使わせたくない、天文学的な利益は西側の経
済にのみ投資させねばならないというアメリカの巨大資本の国家エゴに基づくのであ
る。

 中東の石油の独占を企む米英の巨大石油資本にとって、石油国有化を進め、自国の
工業化や近代化に石油や石油代金を使う国はサダム・フセインであれ誰であれ、僭越
の極みと断罪の対象となる

(余談だが、イラクなど産油国が勝手に経済発展を進めるのを、不届きにも協力する
日本も同時に潰してしまえという国際戦略が発動されていたと著者は思っていたが案
の定、人のいいというか無知蒙昧というのか、情報操作が功奏したというのか、結果
は御覧の通りになってしまった。)

  まして、イラクは、これまで、アルジェリア独立運動、スエズ戦争、イラク石
油国有化の実現、イラン・イラク戦争で軍事大国として勝ち残るほか、とりわけ、パ
レスチナ解放運動などに力を尽くす許しがたい「ならず者国家」とされたのである。

 とにかく、アラブの中に民主主義を育てようとするアメリカの巨大資本にとっては、
危険な国家としてマークされているのである。2月16日のバクダード空襲も、大国
に抵抗するイラクへの懲罰に外ならない。

 ここに、戦闘員あるいは非戦闘員の区別なく無制限の爆撃、クウェートの油井の
大半を米国空軍の爆撃で炎上させ、その賠償までイラクに払わせるという巨額の賠償
要求、数百万年まで残るという劣化ウランの恐怖、敗残兵数千名の生埋め、貯水場、
病院などの爆撃による環境破壊など、平時の戦争ともいえる経済制裁というジェノサ
イドなどなど、民族の根絶を図る超大国アメリカの非情さ、冷酷さには息を飲む。

「イラクは廃虚と化した。そこには、恐怖と死と人間として許されざる出来事を米国
民が受け入れたという事実ほど、あるいは、そう見えたことほど、将来にわたって脅
威となるものはない。」(331p)

 今や、クラーク氏も述べているように米国国民はマスコミによって地球に脅威を与
える国家、世界の警察官を自認する軍国主義アメリカを謳歌する悲しむべき国民に変
質されてしまっている。

 しかし一方、言語に絶する苛酷な試練に耐えながら、豊かな人間性を維持している
イラク人の文明度の高さに驚かされる。

 本書は、「21名の米国人捕虜1991年3月3〜9日に無事帰国している。彼ら
が迅速な応急手当てや適切な医薬の使用など全般な医療看護を受けたたことは、米国
自身も認めている。米国人捕虜に与えられた食糧、飲料水、防空壕は、殆どのイラク
の兵士や民間人が入手できるものよりも良いものだった。」と伝えている。こうした
例は1973年以来昨年9月まで11回イラクを訪問した筆者にも幾つかの思い出が
ある。

 筆者は幸いにして、1991年渋谷の山手教会で「アメリカの戦争犯罪」を糾弾す
るクラーク氏の演説を聴く機会に恵まれた。祖国アメリカの非人道的暴挙を堂々と告
白する同氏の不屈の精神と燃えるような愛国的な憂国の弁説に魂を揺り動かされた。
天の声を聴くとは正にこのことかと思いがした。500頁に上るクラーク氏のこの大
著の1頁、1頁は、その感動を私の中に甦みらせる。まさに「眼からウロコが落ちる」
連続の感動である。

 最後に、東京の国連大学客員教授として1980年代の終わりにに2年ほど滞日し
た知日家で、その折、筆者も親交を結ぶことので来たカイロ大学のハッサン・ハナフィ
哲学科主任教授は、カイロで国際問題評論家、藤村信氏のインタビュ−に応えて、要
旨、次のように指摘している。「今や世界に覇を唱えアラブ世界をもヘゲモニ−の
中に従属させようとしている唯一の超大国アメリカに唯ひとり挑戦しているのはイラ
クです。このイラクの抵抗は帝国主義どころか、脱帝国主義であり、脱植民地主義、
帝国主義に対峙する闘争なのです。今日の世界のセンタ−はアメリカとイラクの二極
になり、かつてのソ連の占めていた栄光の位置をイラクが取って代わったのです」
(『世界』1991年4月号)

 まさに野蛮と文明の衝突であるが、クラーク氏はこの本の中で、世界の諸国民は、
国連憲章、国際法、米国憲法、日本憲法など、あらゆる人類の基本的原則を「二重基
準」なしに、国連を始めとする国際的諸機関、世界各国に遵守させること、形骸化さ
せないことが重要であることを強調し、そのために行動することを熱意を込めて訴え
ている。同氏は、最終章「平和の展望」の冒頭に「将来への展望がなければ、その国
民に展望はない」といることわざを掲げている。

        _______________


 なお、サダム・フセイン悪魔論は、湾岸戦争の勃発する1年前に急にアメリカのマ
スコミに登場したのですが、同大統領が冷酷無比の野蛮な野蛮な指導者であるかどう
か、彼が西欧諸国政府と国民に当てた3つの書簡は、小生の「日本・アラブ通信」に
紹介してあるのでお読み下さい。時間の十分とれないまま訳したことやかなりの長文
なので讀むのが時間が掛かるでしょうけれど、アラブの立場を知る上での第一級の資
料であることは間違いありません。

ここにサダム・フセインについての元駐イラク大使島静一氏の朝日の論壇の中の寸評
を紹介しましょう。

 「フセイン大統領はヒトラ−的独裁者でも狂人でもない。優れた戦略家、理論家で、
  果断な実践家でもある。長い植民地支配の結果、合はみ争うように運命づけられ
  て「シシの力とキツネの狡智(こうち)をもって戦国時代を生きているアラブ指
  導者の一人なのである。」

        朝日新聞1991年1月10日 論壇
       島静一(元中イラク大使中東調査会理事七六才
     「湾岸」解決へ米と一線画せ「無条件降伏」迫るより政治的打開を

筆者もフセイン大統領が神様だとは思いませんが、イラクのためには、命を何時でも
捨てる覚悟の愛国的な優れた指導者の一人と思っています。

島大使は、学究肌の立派な外交官で、小生も知己をえた高潔かつ温厚な方であったが、
この論壇での発言に対して自民党の中でも憎っくきフセインに塩を送る利敵行為だ非
難の声があがり、嫌がらせの記事が右派系の新聞雑誌に載ったことがありました。


 話しは変わりますが、アフガンニスタンで素晴しい医療を活動をしておられる中村
哲医師は、黒澤明監督の『赤ひげ』を連想させる素晴しい精神と実践力を備えておら
れる素晴しい日本人です。

 (余談ですが、エジプトの優れた映画人にこの『赤ひげ』画与えた影響ははかり知
れないものがあります。映画監督やシナリオ作家など、ビデオで6回も、7回も見た
映画人にあったり、中には三船敏郎の声色で科白の一部をまねてみせる助監督がいた
のには吃驚しました。もちろん英語でしたが)

 中村氏は「アフガニスタンほど平和で、人情豊かな所はない」旨発言されていたが、
筆者も18回のエジプト訪問に続いて、これまで11回のイラクへの訪問の中で、3
年程前に大阪外語大の森高久美子助教授とバビロン国際音楽祭に出席した時も、二人
とも「世界中で、こんなに穏やかで、平和で美しく、人情味豊かな人々が住んでいる
所が、外にあるだろうか」と話しあったものです。

 とにかく「百聞は一見にしかず」。あまり西欧のマスメデアの情報を鵜呑みにして
いると日本はとんでもない方向に誘導されてしまい、いいように料理されつくされて
しまうのが関の山だと心配しています。そうならないためにも強固なPeaceNetwork
を広げていきましょう。

 イラクやパレスチナの問題、また改めて報告します。是非、「日本・アラブ通信」
http;//japan-arab.org をのぞいてみて下さい。 乱筆多謝



フォローアップ:



  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。