投稿者 MIROKU 日時 2001 年 11 月 18 日 05:05:01:
ビンラディン家の疑惑のサイト
Howard Altman
2001年11月9日 2:00am PST ロサンゼルスに住む30歳のウェブデザイナーが、あるドメイン名の登録料金を支払って、何とも奇妙なインターネットの歴史の一部を手に入れた。
この人物はクリストファー・カリー氏。同氏の運営する会社、シュリンポ・コム社が10月27日(米国時間)、サウジ・ビンラディン・グループ(SBG)社がかつて所有していたドメイン名を購入したのだ。SBG社とは、「世界一のお尋ね者」となっているオサマ・ビンラディン氏の実家が所有する建設会社だ。
シュリンポ・コム社が運営するウェブサイトが非常に興味深いのは、『saudi-binladin-group.com』というドメイン名がかつてSBG社の公式サイトのものだったからだけではない。ドメイン名登録も手がけている米ベリサイン社の『whois』データベースを検索した結果によると、このドメイン名は、昨年9月11日に登録され、今年9月11日に期限が切れるようになっていたのだという。
この件に関してSBG社のコメントを得ようと、サウジアラビアのジェッダにある同社本社に5回以上電話をし、電子メールも2通送ったが、返事はなかった。
SBG社のドメイン名登録期限切れが、米国における同時多発テロと同じ日だったのは、「恐ろしい偶然の一致だ」と語るのは、デラウェア大学のチャールズ・ボンセレット教授。同教授はコンピューター科学および情報科学を教えており、画像などにメッセージを隠すステガノグラフィー技術(日本語版記事)の専門家だ。
同時多発テロに関わった者たちが、オーディオファイルやビデオファイルにデータを埋め込み、一見無害に見えるウェブサイトや電子メールを通じて攻撃に関する情報を伝達したのかどうか、捜査当局はすでに調査を進めている。
米連邦捜査局(FBI)は、SBG社のドメイン名登録期限が切れた日がテロリストたちへの合図として利用された――そして、ビンラディン家が悪名高い17番目の息子、オサマ氏を勘当したというのは世間を欺くためのPR戦略だった――という説について、コメントするつもりはないとのことだ。
カリー氏は、FBI捜査の対象になっているかどうかに関係なく、このドメインの他、3件のSBG社関連ドメインを購入した。
カリー氏は、ドメイン投機事業に参入したばかりだ。同氏が当初、これらのドメイン名を購入した目的は、転売して多額の差益を得る――そして、利益の一部を赤十字の救済基金に寄付する――ことだったという。
だが、カリー氏はその後、このドメインを、ただ単に買い手を待っている中身の空っぽなサイトへの入り口にしておくべきではない、と考えを変えた。このサイトは現在、特にアラブ世界から多くの訪問者があり、ヒット数は1日あたり1万3000にも上っているので、カリー氏はこのサイトを「ビンラディン」関連の充実した情報源にするつもりだという。
「私はこのサイトを、ビンラディン一族に関する情報サイトとして使うつもりだ」とカリー氏。「友人たちが、同家の歴史についての記事を執筆してくれている。サイトには、同家に関する他のオンライン情報源へのリンク集『ビンリンク』も付ける予定だ」
現在このサイトにアクセスすると、見えるのは、オサマ・ビンラディン氏の顔写真と、「ビンラディン――宮殿の王子から洞窟の住人になった男。米国でいちばん憎まれている人物についての情報」というテキストだ。
そして、テロ事件関連の寄付サイト『リバティーユナイツ』の広告も載っている。
カリー氏によるとこのサイトは、ビンラディン家やオサマ氏に関する真面目な情報を掲載するだけでなく、「楽しいサイト」になるという。「きわめてインタラクティブで、少々通俗的なサイトになるだろう。アニメーション、つまり短編のマンガなども入るだろう」
このサイトが全面的に立ち上がるのは11月15日の予定だという。カリー氏によると、シュリンポ・コム社は「アダルト業界向けから企業向けまであらゆる種類の」ウェブサイトを制作してきたが、このようなものを手がけるのは初めてだという。
「このウェブサイト制作にこれほど時間がかかるとは思っていなかった」とカリー氏。「だが、幸か不幸か、IT業界の不振で時間は十分にある」
問題のサイトを掲載しはじめたとき、カリー氏をテロリストではないかと疑う人々や、悲劇を食い物にして金を儲けようとしていると怒った人々などから、嫌がらせのメールが送られてきたという。そして、捜査当局やSBG社関係者などからは何の連絡もないが、このサイトを運営していることで、厄介な事態が生じることに気づいたそうだ。
「アラビア語の宣伝メールが大量に送られてくる」とカリー氏。「魅力的な投資先があるとか、儲かる話があるとか、そんな風なメールがいっぱい舞い込んでくるのだ」
[日本語版:中沢 滋/合原弘子]