投稿者 いがらし 日時 2001 年 11 月 17 日 04:47:02:
http://www.hotwired.co.jp/news/news/20011114301.html
防止不可能な自爆テロ――爆弾を体内に隠して搭乗(上)
Erik Baard
2001年11月13日 2:00am PST 米国のすべての空港で、飛行機に積み込まれるすべての鞄に爆発物検査が行なわれ、搭乗者全員が金属探知器の下をくぐらされたとしても、爆弾が旅客機に持ち込まれる可能性は残ると、専門家が指摘した。米連邦航空局(FAA)が購入しようとしているホログラフィー利用の最新型の身体画像スキャナー(写真)も役に立ちそうにない――「テロの運び屋」の時代に、われわれは入ったのかもしれないのだ。
麻薬やダイヤモンドを米国に運ぶ犯罪者集団は、数年前から、品物をコンドームに詰めて運び屋に飲み込ませたり、手術で体内に埋め込んだり、直腸に詰め込んだりして密輸を行なってきた。これと同じ方法を使えば、『セムテックス』などの強力プラスチック爆弾を、空港のセキュリティーシステムに検知されずに機内に持ち込むことが可能だ。
起爆装置は、探知器に検出されないように金属部品をほとんど使わずに製造できる。あるいは、携帯情報端末(PDA)や携帯電話、ノートパソコンやパーソナルステレオなどの一般的な電子機器の部品から組み立てることもできる。地上から操作可能な無線起爆装置さえ考えられる。
「こうした方法は間違いなく可能であり、非常に簡単なことだ。ありえないと考える理由はない」と述べるのは、ロングアイランド大学の刑事司法学部の学部長、ハービー・カシュナー博士。テロの専門家でもあり、アフリカでの米国大使館爆破事件や、世界貿易センターへの最初のテロ攻撃、パン・アメリカン航空103便の爆破事件に関する刑事・民事訴訟で証言を行なってきた人物だ。
「はっきりいって、この種の実験はすでに行なわれている。中東では数年前から、テロリストたちが動物に装着した爆弾の実験を行なっているのをわれわれは知っている。爆弾を直腸に入れることもそれほど突飛な発想ではない」とカシュナー博士は述べた。
博士は、『アメリカにおけるテロとテロの将来:新世紀の暴力』(Terrorism in America and The Future of Terrorism: Violence in the New Millennium)の著者で、『急進主義とテロの辞典』(Concise Encyclopedia of Extremism and Terrorism)も近日刊行予定だ。
一方、米海兵隊の爆発物処理班や、財務省検察局(シークレットサービス)のセキュリティー部門で働いた経験があるハービー・「ジャック」・マクジョージ氏によると、テロリストはこれまでに、爆弾を機内に持ち込むために人工装具で妊婦を装ったことはあるが、体内に爆弾を忍ばせるという方法はまだ誰も試したことがないという。
マクジョージ氏は現在、バージニア州ウッドブリッジにあるコンサルタント会社米パブリック・セーフティー・グループ社の社長。この会社は、生物・化学兵器やテロの研究を行なっている。
「私も、体内に爆弾を隠して搭乗することは可能だと思う。できない理由は見当たらない」とマクジョージ氏は述べた。ただし同氏は、カシュナー博士の言うような動物を使った実験の話は聞いたことがないと述べた。
マクジョージ氏の推測によると、自爆テロ犯は、米国製のプラスチック爆弾『C−4』を少なくとも1本、体内に隠して機内に持ち込むことが可能だという。この爆弾の大きさは直径約4センチ、長さ18〜20センチで、約500グラムのダイナマイトに匹敵する威力があるという。「隠そうと思えば、膣に1.5キロ、肛門に500グラムほどは隠せるだろう」
他の専門家は、さらに胃にも爆弾を隠し持てば、爆弾の総重量は2.3キロを優に超えるだろうと述べた。カシュナー博士は、パン・アメリカン航空103便を爆発・墜落させたセムテックスは、2キロ弱だったと指摘している。
(11/15に続く)
[日本語版:天野美保/合原弘子]
http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20011115306.html
防衛不可能な自爆テロ――爆弾を体内に隠して搭乗(下)
Erik Baard
2001年11月13日 2:00am PST (11/14から続く)
無線起爆装置などのメカニズムを使わず、内蔵型のタイマーを使えば起爆の仕組みを単純化できると、マクジョージ氏は続けた。爆弾をトイレで体外に出せば、一番効果的な場所に爆弾をセットできるだろう。
匿名を希望する、ある米国情報機関の研究員は、次のように述べた。「情報機関が、『生きた爆弾』に喜んでなろうとする人間が直腸に爆薬を詰め込んで機内に持ちこむという可能性に関して報告を出した例は見たことがない。(しかし)その筋書きはあり得る。アイディアは単純明快なものだ。9月11日の事件は、飛行機などのターゲットに対する自爆テロに留意すべきだということをわれわれに教えている」
一方、弁護士であり、私立探偵であり、イスラエル国防軍の大尉でもあり、テロ問題に関するコンサルタントを務めているリチャード・ホロウィッツ氏は、次のように述べた。「テロを研究する者にとって、技術的に十分起こり得ることを一顧だにしない、というのは適切な姿勢ではない。私は、自爆テロ犯が体内に爆弾を隠して搭乗することはあり得ると思う。こうしたシナリオが論じられているのを聞いたことはない。しかし、トム・クランシーがテロリストがジェット機をビルに衝突させるという小説を書いていたのに、連邦捜査当局は、そういうことが起こる可能性は低いと見ていたのだ」
体内に爆弾を隠し持った自爆テロ犯は、現在空港にあるすべてのスキャニング技術だけでなく、今後登場する数多くの技術をも欺くことができそうだ。
米連邦航空局(FAA)によれば、同局は米ラピスキャン社からホログラフィー利用の画像スキャナー『セキュア1000』を5台購入し、FAAのウィリアム・J・ヒューズ技術センターでテストを行なう予定だという。この製品はX線を使用しているが、弱いX線なので、衣服の下は透視できるが体内までは見えないということを、ラピスキャン社自身、認めている。
磁気、赤外線、あるいは各種放射線を用いたスキャニング技術でも、体内までを見とおすことは難しい。これらのほとんどは、同時多発テロ事件発生以前――ハイジャック犯が銃を使い、生き延びようという希望が若干はあった時代――に開発されたものだからだ。
体内爆弾テロを防止できるかもしれない監視機器が1つ、現在オランダで開発されている。MMCインターナショナル社の『コンパス・デジタル・ボディー・スキャナー』で、アムステルダムのスキポール空港で使用される予定だ。
このスキャナーは、0.3ミリレムのX線で体内をのぞく。ちなみに、標準的な医療用レントゲン撮影で患者が浴びるX線は40ミリレム。人が1年間に浴びる一般的な自然放射線の被爆量は約300ミリレムだ。
米エネルギー省に所属する『パシフィック・ノースウエスト国立研究所』(PNNL)によると、同省も新しいスキャナーの開発に取り組んでいるという。ただし、同時テロ事件が起こった以上、このスキャナーの性能に関してはコメントできないということだ。
[日本語版:天野美保/合原弘子]