ビッグ・リンカー達の宴(うたげ)−1 &−2

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投稿者 dembo 日時 2001 年 11 月 16 日 00:03:52:

ビッグ・リンカー達の宴(うたげ)−1
2001年11月12日(月)
萬晩報通信員 園田 義明

 国際的な企業間ネットワークを担うべく、複数の国籍の異なる大企業の取締 役を兼任する「ビッグ・リンカー」と呼ばれる人達がいる。彼らの発言は、企 業活動のみならず、政治、防衛、社会福祉、環境政策においても絶大な影響力 を持っている。

 2001年9月11日の同時多発テロの「前」後から彼らの動きが慌ただし くなってきた。

 ■カーライルの宴

 10月26日、米AP通信は、ビンラディンの親族関係者の話として、ビン ラディン家は軍需産業と関係の深い米投資会社カーライル・グループに行って いた202万ドル(約2億4600万円)相当の投資を引き揚げることを決め たと報じた。

 サウジアラビアの中東有数の建設会社を経営するビンラディン家は、米国を 含む世界の大企業に幅広く投資しているが、同時テロ以前からサウジアラビア を追放されていたウサマ氏とは既に絶縁していると表明している。

 カーライルは、カールーチ元国防長官を会長とし、上級顧問にはジェームス ・べーカー氏、諮問委員会にはブッシュ元大統領(以下ブッシュパパ)やイギ リスのメージャー元首相も名前を連ねるなど米英政権と太いパイプを持ってい る。

 昨年もブッシュパパとメージャー氏は、サウジアラビアの実業家と会談を行 うためにリヤドを訪問している。また9月には、ワシントン・モナーク・ホテ ルで豪華なパーティーを主催し、この時にはコリン・パウエル現国務長官とパ ウエルが取締役を務めていたAOLタイムワーナーのステファン・ケース会長 が講演者として雇われて壇上に立った。

 このカーライル・グループの宴は、世界中を巻き込みながら新たなステージ を演出していく。

 ■ジェームス・ベーカーとEDS

 ジェームス・べーカー氏は、1985年から1988年まで、レーガン政権 の財務長官としてプラザ合意をまとめ上げ、1989年から1992年までは、 ブッシュパパ政権の国務長官として湾岸戦争を指揮した。

 また記憶に新しいところでは、ブッシュVSゴアの最終決戦の場となったフ ロリダ州での再集計作業でも、ブッシュ陣営を代表して現地に乗り込み、勝利 の立役者となる。

 フロリダ州は、ブッシュ大統領の実弟のジェブ・ブッシュが知事を務めてい るが、現在全米を揺るがす炭疽菌問題で最初に被害にあった場所でもある。こ のあたりに何かが隠されているのかもしれない。

 ジェームス・べーカー氏は、カーライル・グループ以外に1996年からエ レクトロニック・データ・システムズ(EDS)の社外取締役も務めている。

 このEDSは、総売上高192億ドル(2000年度)の世界最大の情報処 理サービス会社である。大統領選にも出馬して旋風を巻き起こしたことのある ロス・ペロー氏が1962年に設立した。1994年にはペロー氏がゼネラル ・モーターズ(GM)にEDS株を売り渡し、GMの子会社となる。この時に GMの世界的ビジネス・ネットワークをフルに活用することにより世界戦略構 築の基礎が作られる。1996年にGMから分離独立するが、現在でもGMは、 EDSの大株主として強い影響力を維持している。

 また1995年には世界有数の経営経営コンサルティング会社、A・T・カ ーニーを買収し、コンサルティング事業とアウトソーシング事業を強化してい る。

 今年の入ってEDSは再び買収戦略を開始する。5月23日にストラクチュ ラル・ダイナミクス・リサーチ(SDRC)とユニグラフィックス・ソリュー ションズ(UGS)の買収を発表し、SDRCの買収手続きを9月4日に、ま たUGSの買収手続きを9月28日に完了する。

 そして10月1日には、両社を統合し、プロダクト・ライフサイクル・マネ ジメント(PLM)事業への本格的な参入を発表する。抱える製品は三次元C AD/CAM「アイディアズ」「ユニグラフィックス」「ソリッドエッジ」、 製品データ管理ソフトの「メタフェーズ」「アイマン」など多岐にわたり、包 括的なサービスを提供する唯一のプロバイダとなる。とりわけ日本の製造分野 への影響は計り知れないものとなるだろう。

 このEDSの1996年以来の大手販売先にロールス・ロイスがある。20 00年度の契約額は21億ドルとなっているが、このロールス・ロイスはすで に自動車部門をフォルクス・ワーゲンに売却しており、戦闘機を含めた航空機 エンジン部門を中核にした企業となっており、世界の旅客機エンジン市場の三 分の一を占めている。

 また買収したSDRCも航空宇宙産業トップ10企業のうちのボーイング、 ロッキード・マーチン、ノースロップ・グラマン等大手7社をサポートしてい る。また今年3月には、ロールス・ロイスと並ぶイギリスの軍需大手BAeシ ステムズとも提携しており、軍事面における強力なリーダーシップを構築しつ つある。

 なお、下のEDSの2000年度取締役会メンバーを開いていただきたい。

 http://www.eds.com/investor_relations/ir_proxy_proposalsa.shtml

 ●Richard B. Cheney, 59
 ●Ray L. Hunt, 56<

 現在のチェイニー副大統領とそのチェイニーがCEOを務めていた石油関連 サービス会社ハリバートンの社外取締役、ハントオイルのレイ・ハントCEO がジェームス・ベーカー氏と仲良く並んでいるのである。なおチェイニー副大 統領もブッシュパパ政権では、国防長官としてパナマにおける「大義作戦」、 そして中東における「砂漠の嵐作戦」という、近年の歴史上最大の2つの軍事 作戦の指揮をとった。ブッシュパパの果たせなかった夢を実現すべく、時には 忍者のように姿を隠しながら陣頭指揮にあたっているようだ。

 そして、「ロッキード・マーチン」「ロールス・ロイス」「BAeシステム ズ」が、揃って登場するニュースが飛び込んできた。

 ■JSF(ジョイント・ストライク・ファイター)

 米国防総省は、10月26日、空軍、海軍、海兵隊、及び英空軍向けの次世 代主力戦闘機「JSF」の発注先企業に米大手航空機メーカー、ロッキード・ マーチンを選定したと発表した。JSFは合計3000機製造される予定で、 総契約金額は2000億ドル(約24兆6000億円)となり、米軍の契約額 としては過去最大となる。

 また27日付の米紙ワシントン・ポストは、米国外からさらに3000機を 受注する可能性があると報じている。同紙は2040年まで生産予定のJSF を「今後半世紀にわたり、世界を支配する最後の有人戦闘機」と指摘した上で、 各国軍隊の発注を予想している。当然のことながら、日本に対する導入圧力が かかってくるだろう。

 また、JSFの生産拠点となるロッキード・マーチンのフォートワース工場 は、ブッシュ大統領の地元、テキサス州にあり、新たな雇用は約4500人と の見方さえある。

 今後50年間でみると、補修備品なども含め1兆ドル(約120兆円)を超 えるビックビジネスになるとの予測もある。この計画が発表された1996年 当時には、計画そのものに対する見直し論も議論されたが、今回の同時多発テ ロはそうした反対勢力をも吹き飛ばしたようだ。

 このJSFの開発には、BAeシステムズとロールスロイスが加わっている。 「BAeはロッキード・チームの一員であることを誇りに思う」と間髪入れず 声明を出した。BAeはJSFプロジェクトで開発・生産の10%を担い、米 GEエンジンが主導するエンジン開発ではロールスロイスが40%を分担する。 今回の報復作戦において常に行動を共にしたイギリスの狙いがここにあったよ うだ。

 また、テキサス州フォートワース所在のロッキード・マーチン・タクティカ ル・エアクラフト・システムズは、JSFを開発するノースロップ・グラマン やBAeシステムズ等から成るチームを指揮していたが、1999年5月にS DRCの「メタフェーズ」を共通PDMツールとして選択していたのである。(つづく)

ビッグ・リンカー達の宴(うたげ)−2
2001年11月13日(火)
萬晩報通信員 園田 義明

 ■カール・オットー・ぺール

 1998年6月1日に発足した欧州中央銀行(ECB、本部ドイツ・フラン クフルト)は、ドイツ・ブンデスバンクをモデルにしており確固たる独立性を 有している。このECBの規約作りに貢献した人物こそが、1980年から1 991年までドイツ連邦銀行総裁を務めたカール・オットー・ぺール氏である。

 現在カール・オットー・ぺール氏は、ドイツの投資銀行サル・オッペンハイ ムとその親会社であるスイスのサル・オッペンハイム銀行の取締役である。ま た、アメリカでバリュー株投資で著名なマリオ・ガベリ氏が率いるガベリ・ア セット・マネジメントの取締役でもある。かっては、J・P・モルガンの国際 諮問委員会のメンバーを務め、1992年から1997年まで世界的な食品・ 日用品メーカーであるユニリーバと石油メジャーロイヤル・ダッチ・シェルの 取締役を務めた。またフレッド・バーグステン所長率いる国際経済研究所所長 (IIE)の役員も務めている。

 そしてこのカール・オットー・ぺール氏もカーライル・グループの諮問委員 会のメンバーとなっている。さらに2000年7月25日にロールス・ロイス ・ドイツは、戦略的な諮問会議である「ヨーロッパ諮問委員会(本部パリ)」 の新設を発表し、そのメンバーにカール・オットー・ぺール氏を選任している のである。

 ロールス・ロイスは、買収拒否権のある「黄金株」をイギリス政府が保有す る国策的重要企業と位置付けられており、今なお外国人出資規制(上限49、 5%)も残るだけあって、「ロールス・ロイス・ヨーロッパ諮問委員会」には、 元フランス空軍のヴァンサン・ラナータ将軍やシラク大統領の側近中の側近ベ ルナール・ポンス元設備・運輸・住宅・観光大臣等の大物と並んでビッグ・リ ンカー達が集っている。

 ■ウォーレンバーグ・ファミリー

 「ロールス・ロイス・ヨーロッパ諮問委員会」のスウェーデン代表として名 を連ねるピーター・ウォーレンバーグ氏は、スウェーデンのロックフェラー家 として注目を集めるウォーレンバーグ(ヴァーレンベリ)一族にあたる。

 スウェーデン3位の大手銀行であるSEB(スカンジナビスカ・エンスクリ ダ・バンク)と持ち株投資会社インベスターを中核に、国内の通信機器大手エ リクソン、家電・厨房機器大手エレクトロラックス、航空機大手サーブ、産業 機材大手アトラス・コプコ、ヘルスケア大手ガンブロ、素材エンジニアリング 大手サンドビックや国外ではスイス本社のエンジニアリング最大手ABB(ア セア・ブラウン・ボベリ)、イギリスとスウェーデンに本部を置く世界3位の 製薬会社アストラゼネカなどを傘下に持つ巨大企業グループである。

 また一族の資産を管理するナット・アンド・アリス・ウォーレンバーグ財団 は、ノーベル賞で知られるノーベル財団の最大のスポンサーのひとつでもある。 ジャコブ、マーカス、ピーターの一族三人に加え、ビッグ・リンカーがここに 集う。

●ヨーラン・リンダール
※ABB前社長兼CEO、現取締役。デュポン(米国、化学最大手)、※エリ クソン、※ソニー(日本)取締役。※ソロモン・スミス・バーニー・インター ナショナル(米国)国際諮問委員会メンバー

●ピーター・サザーランド元WTO事務局長
BPアモコ(英国、石油大手)会長。ゴールドマン・サックス・インターナシ ョナル会長。※エリクソン、※インベスター、スコットランド王立銀行取締役。 日米欧委員会欧州議長。※ワールド・エコノミック・フォーラム財団(ダボス 会議主催)役員。ヨーロピアン協会ディレクター。

●ドナルド・ラムズフェルド現国防長官(米国)
ギリアド・サイエンス(米国)元取締役会長、※ABB、アミリン製薬(米国) 元取締役。※ソロモン・スミス・バーニー・インターナショナル(米国)元国 際諮問委員会会長。※インベスター元アドバイザー。ジェラルド・R・フォー ド財団、アイゼンハワー交流奨学基金、スタンフォード大学フーバー研究所、 国立公園財団、ランド研究所理事。

 昨年、インベスターの所有するサーブの自動車部門の株式50%をGMに売 却し、サーブの自動車部門はGM資本100%となる。これに対抗し、フォー ドは同じスウェーデンのボルボの自動車部門を買収するが、トラック・バス・ 産業機器・航空機部門を有する現在のボルボに対して、インベスターは、新た に触手を伸ばし始めている。

 なおGMとウォーレンバーグ・グループは、以前から密接な関係を維持して きた。グループ中核のインベスター、ABB、アストラゼネカ、サンドビック の4社の会長を兼任するパーシー・バーネル氏が、1996年からGMの社外 取締役に就任しており、M&Aを含めた政策を協調して行っているのである。

 パーシー・バーネル氏は世界的に評価の高い経営者であるが、ダボス会議を 主催するワールド・エコノミック・フォーラム財団の副会長を務めている。

 なおワールド・エコノミック・フォーラム財団には、ウォーレンバーグ・グ ループからバーネル氏とサザーランド氏の2名が、ワールド・エコノミック・ フォーラムの評議会には、ジャコブ・ウォーレンバーグ氏が参加している。

 現在のスウェーデン・サーブには、ウォーレンバーグ・グループと並んで、 BAeシステムズが33%の株式を保有している。またその取締役会は、ウォ ーレンバーグ・グループからマーカス・ウォーレンバーグを含めた4名とBA eシステムズからの3名が中心となって構成されている。

 さて、ヨーラン・リンダール氏であるが、今年9月にソニーに続いてアング ロ・アメリカンの副会長に就任している。

 そして、11月7日、ワールド・エコノミック・フォーラムは、2002年 のダボス会議をニューヨークで開催すると発表した。欧州のビッグ・リンカー 達がニューヨークを占領するのである。

 ■パウエル卿(The Lord Powell of Bayswater)

 現在イギリスのブレア政権は、貴族院(上院)に一部残っている「世襲貴族」 を議員にする制度の全面廃止に向けた改革に取り組んでいる。実現すれば、1 4世紀に誕生し世界有数の歴史を誇る上院は、完全に姿を変えることになる。

 この上院にも「ロールス・ロイス・ヨーロッパ諮問委員会」のイギリス本国 のメンバーがいらっしゃるのである。サッチャー元首相とメージャー元首相の 外交政策と防衛政策におけるアドバイザーを務めたベイズウォーターのパウエ ル卿(男爵)である。イギリス貴族を代表するビッグ・リンカーでもある。そ の肩書きの一部を紹介しよう。

●ジャーデン・マセソン・ホールディング元会長(英国/香港、商社、1832年設立)
●ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシーLVMH会長(英国)
●ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシーLVMH取締役(フランス本社)
●サギッタ・アセット・マネイジメント会長(英国)
●フィリップス・ファイン・アート・オークション会長(英国)
●キャタピラー取締役(米国、重機、建設機器、戦車製造)
●テキストロン取締役(米国、航空機、産業機器、軍事用ヘリコプター製造)
●マンダリン・ホテルグループ取締役
●HCL・テクノロジーズ国際諮問委員会(インド、情報ソリューション他)
●バリック・ゴールド国際諮問委員会(カナダ、金鉱会社)


●中国−イギリス・ビジネスカウンシル議長 
●シンガポール−イギリス・ビジネスカウンシル会長
●オックスフォード大学ビジネススクール理事長
●GEMS国際諮問委員会メンバー

●アスペン研究所理事※※

 ルイ・ヴィトンとくれば、さぞかし日本女性も興味津々となるに違いない。 しかし、バリック・ゴールドもあなどれない。今年6月にアメリカのホームス テーク・マイニングを買収し、アングロ・アメリカン傘下のアングロゴールド に次ぐ世界第二位の金鉱会社となる。

 そして、このバリック・ゴールドの国際諮問委員会の初代上級顧問がブッシ ュパパであり(現在は退任)、カール・オットー・ぺール氏もそのメンバーと なっている。

 ゴールドに群がるようにカーライル・グループとロールス・ロイスと貴族達 がなにやら不思議なサークルを構成しているようだ。

 そして、忘れてはならない人物がいる。第一線から退いたはずの大物がここ に復活してきたのである。そして彼もカーライル・グループのパートナーであ る。

 彼の名はあのジョージ・ソロスである。(つづく)

http://www.yorozubp.com/

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