投稿者 倉田佳典 日時 2001 年 11 月 14 日 18:53:38:
11/14 17:05 米政府、足並みに乱れ 北部同盟による首都陥落で 外信83
【ワシントン14日共同=杉田弘毅】アフガニスタンで首都カブ
ールを陥落した北部同盟に対し、米政府内で対応の差が出てきた。
戦況のこう着を一挙に打開した功績をたたえる国防総省・米軍に対
して、国務省は新政権樹立交渉の混乱や人権侵害に強い懸念を抱く
。この足並みの乱れは、米国の今後のアフガニスタン戦略にも微妙
な影響を及ぼしそうだ。
米軍の作戦を知る外交筋は北部同盟のカブール進攻の四日前の九
日「米軍は北部同盟の首都入城もやむを得ないと判断している」と
述べており、米軍が北部同盟の首都陥落に暗黙の了解を与えていた
可能性がある。
同筋によると、米政府高官は北部同盟のカブール入城もやむを得
ないとする場合は「タリバン敗走後に権力の空白ができた時」と指
摘したと言う。しかし、北部同盟のアブドラ外相は十三日の入城後
「タリバン敗走で権力の空白が起き、略奪などで治安が乱れたため
」と符合する説明を行っており、米軍と北部同盟の間で何らかの事
前の合意があったことも想像できる。
ラムズフェルド国防長官も十三日、北部同盟の首都入城を「少人
数が治安維持のため入った」と北部同盟の主張に沿った見解を表明
し、人権侵害の批判も「証拠がない」「あの地域では支配者が何度
も変わり、虐殺が行われてきた」と問題視しない姿勢を示した。
国防総省では、十月下旬まで北部同盟と歩調を合わせず、軍事攻
撃が低迷したとしてフランクス中東軍司令官の更迭論も浮上してい
ただけに、北部同盟が「劇的な状況」(マイヤーズ統合参謀本部議
長)を生み出したと゛救いの神″のような評価だ。
一方、国務省は北部同盟の首都入城に対して「一つの勢力が首都
を占領することはできない。北部同盟は最大限の人権擁護を」(ロ
カ南アジア担当国務次官補)と懸念を深める。
ブッシュ大統領も十三日「北部同盟は首都を占領すべきでない」
と述べ、国務省の意向をくんだメッセージを送った。北部同盟は同
次官補らにカブールに入城しないと伝えてきていたが、国務省には
約束がほごにされたとの思いもありそうだ。
勢いに乗るラムズフェルド長官は首都陥落を踏み台に、タリバン
指導部が潜むアフガニスタン南部攻撃やウサマ・ビンラディン氏の
掃討など、対アフガニスタン攻撃の最終段階の作戦に全力を挙げる
方針を表明。これに対し国務省は北部同盟が発言力を圧倒的に強め
た中で、新政権樹立交渉という後始末を押しつけられ、明暗が分か
れた形だ。
(了) 011114 1705
[2001-11-14-17:05]