投稿者 えーてる 日時 2001 年 11 月 14 日 17:03:53:
【ニューヨーク13日=館林牧子、河野博子】ニューヨーク市内の住宅地に墜落したアメリカン航空機について、米国家運輸安全委員会(NTSB)は13日、記者会見し、ボイスレコーダーの解析結果を発表した。記録では、事故機は離陸滑走開始後に2度にわたり、機体が「がたがた」と揺れる不審音が聞こえ、わずか2分24秒後に記録は途絶えていた。NTSBはエンジン内部の故障との見方は否定しており、同日回収した飛行データ記録装置の解析を急いでいる。
ボイスレコーダーの記録によると、事故機は離陸滑走開始後、1分47秒たって機体ががたがた揺れ、その7秒後に、機長が(前方の航空機が起こした)気流の乱れについて言及している。2分一秒後には2度目の揺れが記録され、その4秒後には副操縦士が「エンジン出力全開」とコール。2分7秒後に機体が操縦不能になったことを示す会話があり、2分24秒後に記録が途絶えた。
NTSBでは、最初の揺れが同機が滑走路を走行中に発生したのか、離陸後に起こったのかは現在のところ分からないとしているが、航空関係者は「旅客機は普通、離陸滑走開始から十数秒で地上を離れるため離陸後の可能性が高い」としている。
一方、機体の各部分は、航空路に沿ってほぼ一直線上に散乱しており、左右のエンジンは数百メートル離れた場所に落下していた。両エンジンとも大部分無傷のままだった。また、一体になっている垂直尾翼と方向舵(だ)は、180メートル離れた場所で見つかった。
会見したNTSBのジョージ・ブラック委員は、「エンジン内部の故障を示す証拠はみられない。エンジン部分は(バラバラになっておらず)一つにまとまっている」と述べ、離着陸時に鳥がエンジンに飛び込む「バード・ストライク」の可能性も否定した。
NTSBは、ボイスレコーダーの詳細な解析を急ぐとともに人工衛星やレーダーの記録などを総合して原因究明に当たる。
墜落機には、乗客乗員260人が搭乗していたが、アメリカン航空は全員が死亡したとしている。機体を製作したフランスのエアバス・インダストリー社も同日、専門家を米国に派遣、NTSBと共同で調査を開始した。
◇
航空評論家の諸星広夫さんは、「2度の揺れは、最初にエンジンに軽いトラブルが起こった後、決定的なダメージに至ったと考えられる。片方のエンジンが停止した場合、パワーは最高出力にするが、高度も十分上がっておらず、回復できなかったのだろう。エンジントラブルによる機体の揺れを乱気流のように感じたのかもしれない」と指摘した。
(11月14日14:10)