投稿者 あっしら 日時 2001 年 10 月 29 日 17:22:43:
炭疽菌テロをめぐる米国の報道内容が錯綜している。
民主党ダシュル上院院内総務の事務所及びブレントウッド郵便センターで発見された菌がその他の場所で発見された菌の加工処理レベルが異なっていたことが一つの要因であろう。
9月11日の同時多発テロでは、とりあえずアメリカ権力機構の見解にブレはなかった。
しかし、今回の炭疽菌テロでは、その菌の分析評価において、「粒子が細かく、純度が高い危険なタイプ。兵器として使われたことは明らか」(リッジ米本土安全局長官)と「細菌学の博士号があれば民間の研究所でも作れる程度」(フライシャー米大統領報道官)に見られるように公式発表で大きく食い違っている。しかも、捜査機関からのリークとみられる報道内容も、「アルカイダ」・「イラク関与説」から「米国内過激派」までとブレている。
ダシュル上院院内総務向け炭疽菌テロ後十分に日数が経過した時点(菌の分析評価は既に終わっているはず)でのこの混迷は、米権力機構の内部亀裂を露呈したものだと思われる。
米権力機構の内部亀裂は何に由来するのであろうか?推測するしかないが....
1)実行犯及び背後関係を何にするかのコンセンサスが未だ得られていないためにそれぞれの勢力が様々な方向付けを行っている
2)9月11日同時多発テロを防止したり損害を最少限にくい止められなかったのと同じように、米国情報捜査機関の無能力の現れとそれに対する焦りの現れ
3)炭疽菌テロに権力機構の一部が関与していることを知っている者たちの抵抗活動が表面化
(こういった勢力があるとしたら、9.11テロについても当然同じような疑いを持っているだろう)
炭疽菌テロに関する不可思議さは、あの9月11日から数日のうちに、「次のテロの危険性は生物化学兵器」と内容が捜査機関のリーク報道として声高に語られ、「9月18日に次のテロが発生する可能性が高い」と言われていたことである。
炭疽菌テロのうち当初発見された郵送物2通は消印が“9月18日”である。捜査機関は十分に“情報”を得ていたのである。嫌みな言い方をすると、ウサマ・ビン・ラディンが9月11日の2,3日前に米国で大事件が起きると電話しておりその通り9月11日に同時多発テロが発生したからウサマ・ビンラディンが首謀者という論理が通用するのなら、9月18日に次のテロが起きる可能性が高いと語った捜査官は第1の容疑者もしくは実行犯を知っている者として取り調べられるべき対象である。
9月11日から9月18日といえばわずか1週間である。炭疽菌テロをそれ以前から計画(準備)していなければ、この日数で実行に移すのは困難だろう。米国権力機構の言う“イスラム教過激派”は9.11テロ直後に見境なく身柄拘束されている。9.11テロの犯人を割り出し、9月18日テロを予測した捜査機関であれば、身柄拘束に漏れはないだろう。“国内過激派”は、反連邦政府・反ユダヤであっても、反アメリカではない。同封文書(犯行声明?)の文言(これはイスラム教徒でもないことを示している)も彼らにふさわしいものではないし、彼らがこの時期に攻撃を仕掛けるという見方にも同意しがたい。
炭疽菌テロの目的は、新しい不安状況をつくりだし、異なる恐怖の話題でマスコミを埋め尽くし、原点である9.11同時多発テロそのものを冷静に考え直したり責任を追及するという状況を産み出さないことにあると思われる。
米権力機構が何(誰)を犯人として主張するか興味津々である。