投稿者 佐藤雅彦 日時 2001 年 11 月 11 日 02:55:20:
●アジア経済研究所が10月に「同時多発テロをアジアはどう見たか」
というレポートをまとめたところ、反政府的だということで封殺された
とのこと。
●このニュースを知って、私は太平洋戦争直前の総力戦研究所の
“対米戦争必敗”分析レポートを握りつぶした当時の政府の愚挙を
連想してしまいました。
●封殺された研究報告である以上、それがどういうものだったのか
見てみたくなるのは当然のことでして、ひょっとするとサイバー空間の
どこかに残滓が見つかるかも知れない、と探してみたのですが、
見つかりませんでした。アジア経済研究所の問題のレポートをお持ち
の方がもしいらっしゃるなら、ぜひとも匿名投稿していただきたいもの
だと思います。
●なお、過去のウェブコンテンツを収録する「The Internet Archive 」
というプロジェクトが海の彼方で始まっており、そのサイトと紹介記事
はつぎの通りですが、ひょっとしたら、ここに引っかかっているかも知
れません。
●The Internet Archive
http://web.archive.org/
●紹介文(ニュース)はここ
http://www.zdnet.co.jp/news/0110/27/b_1026_08.html
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http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/837844/83A83W83A8co8dcf8ca48b868f8a-0-1.html
アジア経済研究所:
政府に配慮? テロリポートを回収・廃棄
2001.11.10
経済産業省所管の研究機関「アジア経済研究所」(千葉市、山澤逸平所長)が米同時多発テロをめぐるアジア諸国の新聞論調などを基に緊急リポートを作成したところ、「日米政府の批判ととられかねない」という幹部らの判断で回収され、廃棄処分になることが分かった。管理職側は「正式な手続きを経ずに印刷された」と説明するが、執筆した研究員らは「政治的な理由で書き換えを迫られた」と抗議し、研究成果の「お蔵入り」に反発している。 【磯崎由美】
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リポートは「同時多発テロをアジアはどう見たか」と題され、A4版96ページ。テロ後2週間とアフガニスタン空爆直後の19カ国の報道を紹介し、政府や市民の反応を多角的に分析している。
研究所によると、10月上旬、役員や部長クラスでつくる委員会で作成を決定した。地域研究第1部の研究員ら17人が分担して執筆し、10月24日に完成した。ところが、委員会のメンバーが「事前にチェックしていない」と憤慨し、翌日から回収した。今月2日には内部資料として残す一部を除いて廃棄処分にすることを決めた。ホームページ上の掲載も10月29日に削除された。
問題とされたのは2ページにわたる「はじめに」の部分など。「日本政府はいかに素早くかつ顕示的に、アメリカへの支援を打ち出すか腐心した」などの記述がある。委員会側は「『日本政府』という言葉を削除せよ」などと迫ったが、研究員らは「政治的な理由での書き換えは、研究所としての自殺行為になる」と応じなかったという。
吉田幹正・研究企画部長は「手続きを経ずに作成されたものを世に出せば、研究所の恥をさらすことになる」と強調しつつ、「研究者の主張が混じっており、政府批判と受け取られかねない表現がある。研究者が修正に応じないから、廃棄はやむを得ない」と話す。
これに対し、研究員からは「国民の税金で研究した成果を公表しないわけにはいかない」「政府批判をタブー視すると、アカデミックな研究はできなくなる」との声が上がり、外部での出版を検討する動きも出ている。
アジア経済研究所は60年、通商産業省(現経済産業省)所管の特殊法人として設立され、開発途上国・地域の経済、政治、社会問題などに関する研究を行ってきた。98年7月に行政改革で日本貿易振興会(JETRO)と統合された。
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<リポートで問題とされた主な部分>
■(テロ対策支援法制定の背景に)湾岸戦争時の対応が「遅すぎ」てかつ「資金拠出のみ」だったため、「世界から孤立した」ことへの反省があるという。
■「世界」という場合、政府はもちろんマスコミも、アメリカをはじめとする欧米先進国を暗に指していることが多い。(中略)しかし言うまでもなく「世界」はアメリカに代表されるわけでも、先進諸国に代表されるわけでもない。
■タイやインドネシアでは新聞の社説、論評などでアメリカの傲慢(ごうまん)な外交姿勢を批判する見解が紹介されている。
[毎日新聞11月10日] ( 2001-11-10-15:01 )
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