投稿者 はらしょ〜 日時 2001 年 10 月 29 日 03:19:50:
=== RPE Journal================================================
ロシア政治経済ジャーナル No.99
2001/10/28号
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★ロシアの市場拡大戦略
ロシアの武器輸出を独占する「ロスオボロンエクスポルト」は、
国連に平和維持軍用の装甲輸送車78台を売却する。
ロシアにとって戦争は千載一遇のビジネスチャンス。
プーチンさんは今、利益を最大限にすべく動いている。
▼ロシアの利益
RPEは、最近戦争のことばかり書いている。
94号(9月5日）で「戦争拡大は止まらない」
と書いたら、9月11日に同時テロが起こった。
95号（9月16日）で、ロシアは欧米とアラブ
の両方と仲良くしながら利益を上げると書いた。
するとその後、プーチンさんは5項目の対米支援策を発表し、
米軍事行動への支持を表明。(97号-9月26日）
ところが、裏ではテロ支援国家イエメンやイランへの武器輸出を拡大し、
イラクの石油利権もちゃっかり抑えたことが明らかになった。
（98号-10月12日号）
ここでもう一度ロシアの利益についておさらいして見ることにしよう。
ロシアが欧米対アラブの戦争から得る利益は以下の通り。（詳細は95号）
1、アメリカが、宿敵タリバンとビンラディンを攻撃してくれる
アメリカが攻めているタリバンは、チェチェンの武装
勢力を支援するロシアの宿敵。
それをアメリカが「無料」で駆逐してくれる。
2、欧米が「チェチェンの人権問題」を口にしなくなる
欧米はこれまで、「チェチェン人の人権を蹂躙している」
とし、ロシアを激しく非難してきた。
ところが、アメリカでテロが起こり、アフガンへの攻撃が始まった。
「テロリストを倒すためにアフガンを攻撃する」というのは、
「チェチェンテロリストを懲らしめるためにチェチェンを攻める」
というのと同じ論理。
もはや欧米は、ロシアを非難できない。
3、戦争になれば原油価格が上がる。
読者はこれを見て「原油価格下がってるやん」と思うに違いない。
ロシア産原油の価格は、同時テロ前1バレル28米ドル
だったが、今は19米ドルまで下げている。
これは石油輸出機構（OPEC)諸国が、アメリカを恐れているため。
OPECは、米国との関係悪化を恐れて減産に踏み切れないでいる。
ところがアメリカは今後、「炭疽菌をばら撒いているのはイラクで
ある確証をつかんだ！」とか言いつつイラク攻撃を始めるだろう。
アメリカは民主主義の国。
国民の意志を尊重するのである。
では為政者はやりたいことをしないのか？
する。
まず、国民の意志を変えてからやりたいことをする。
（例 真珠湾攻撃とそれに続く戦争）
炭疽菌で恐怖に脅えるアメリカ人。
そこに当局が「これはイラクがやっていました！証拠もあります！」
これで国民は一気に主戦論に傾く。
ブッシュ「あ〜ゆ〜れでぃ〜？」
アメリカ人99%「や〜〜〜！！！」
アメリカがイラクへの攻撃を始めると、アメリカ対
タリバンの戦争が欧米対アラブになる。
するとアラブは当然、石油の輸出量を減らして
対抗する。原油価格は上がる。
4、アラブに武器が売れる
戦争になればアラブでの武器需要が増え、ロシアが儲かる。
5、ロシアは欧米に接近する
欧米とロシアは、「国際テロリズム」という
共通の敵を持つことで仲良しになれる。
すると債務の返済が容易になり、外国投資も増える。
▼努力
ここまでは、戦争によってロシアが
「自動的に得る利益」について書いてきた。
しかし、市場に追い風が吹いている今、
「積極的営業攻勢に出る」のがスーパー
ビジネスマン・プーチンさんのスタイルなのである。
9月11日後の動きは、以下の通り。
（詳細は98号）
1、アラブへの武器輸出の増加
ロシアは9月11日以降、イエメン、イランと新規契約を締結している。
2、アラブ諸国における石油権益の独占、
ロシアは9月30日、イラクの石油・ガス田開発等400億米ドルの契約を獲得した。
3、欧州におけるロシア産原油の需要増加
ロシアは、OPECに協調しない姿勢を取っている。
一方でプーチンさんは、ドイツなどで「アラブが原油輸出を減らしたら、
ロシアがその分輸出を増やすから安心してくれ！」などといっている。
▼さらなる飛躍を目指して
ロシアの動きはとどまることを知らない。
1、兵器販売の拡大について
プーチンさんは、「アラブへの武器輸出は自動的
に増える。しかし、イスラム教の国は他にもあるの
だからもっと市場を拡大できるはずだぜ！」と考えている。
ロシアはそこで、マレーシアやインドネシアなど
に売り込み攻勢をかけている。
韓国にもセールス中。
国連への売込みにも成功した。
ロシアは国連に、装甲輸送車BTR-80を78台売却する。
取引額は公表されていないが、1,600万米ドル程度と見られる。
装甲輸送車は国連の平和維持軍が使用する予定。
ロシアがこの製品を国連に売却するのは今回が初めて。
まあ大した額ではないが、「広告効果はバツグン」ではないだろうか。
これまでロスオボロンエクスポルトのセールスマン
は肩身の狭い思いをしてきた。
セールスマン「装甲車買ってください」
A国の政府高官「実績は？」
セールスマン「イランで使われています」
A国の政府高官(鼻くそをほじりながら）
「イランね。。。あそこはアメリカが武器
輸出を禁止してるからね。。」
これからは、
セールスマン「装甲車買ってください！」
A国の政府高官「実績は？」
セールスマン「国連の平和維持軍で使われています！」
A国の政府高官「うひゃ！いくらですか？」
と商談がまとまりやすくなる。
2、原油輸出の拡大について
欧米対アラブの戦争がはじまった場合、
ロシア・オイルメジャーのターゲットは欧州である。
欧州は、経済がぼろぼろのCIS(独立国家共同体)諸国と比べ金払いがいい。
とてもいい客なのだ。
しかし、実はもう一つのターゲットがある。
それは、お隣の国中国、韓国。
そして日本！
ロシアは、米同時テロが起こるずっと前から、
中国、韓国、日本に原油を供給する準備を始めているのである。
ロシア政府は、世界が現在のような情勢になることを
ずっと前から知っていたと見るべきだろう。
（RPEも5月24日号-「ロシアは世界大戦の準備を始めた」
でそのことに触れている）
中東が原油の供給を減らせば、この3国もとばっちりを食らう。
中東の減産で価格が急騰。
中国、韓国、日本は原油が無くて困る。
そこにプーチンさんが飛んで首脳達と会談。
プーチンさん「原油のことは心配しなくても
いいぜ！ロシアにまかせてくれ！」
小泉さん「感無量！」
江沢民「シェ-シェ！」
金大中「カムサハムニダ〜！」
プーチンさん「ただし1バレル60米ドルだけどな！」(今はバレル19米ドル）
小泉さん「ひゃ！」（失神）
江沢民「高いアルネ！」
金大中「アイゴ〜！」
というわけで日本人のカップルが、
A子さん「さむ〜〜〜〜い」
B男「ヒーターつける？」
A子「つけてつけて！」
B男「俺最近、ファンヒーターにロシアの石油使ってんだよ」
A子「え〜そうなの？」
B男「そうだよ。中東から石油が入ってこないからロシアから
買ってんだよ」
A子「へ〜そうなんだ〜。じゃあ私たちがあたたかくクリスマスを迎え
られるのは、プーチンさんのおかげってこと？」
B男「まあそうとも言えるかな」
A子「じゃあプーチンさんに感謝しなきゃね」
B男「あ〜めん」
などという会話をする日も近いのかもしれない。
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★読者からの投稿文１
こんにちは。にゃぁちゅです。おひさしぶりです。
もうそろそろ百回記念ですね。
おめで、、、
まだ言っちゃダメでしたね。ロシア人は前祝い禁止らしいので。
読者からの投稿で、
アメリカの陰謀ではないか、という話がありました。
それを読んだ時に思ったんです。
もしかして、わざと見過ごしたってことかなー？
戦闘機なんて、よびつければ五分や十分で主都上空に来れるように
なってます、よね？たぶん。
で、少なくともハイジャックされた一機は、その進路をかえた
何十分も後で建物に突っ込んでませんか？
(ごめんなさい、記憶あいまいなんです。)
銀河英雄伝説で、敵側が一般住民用の惑星に核兵器を使用するのを
わざと見過ごしたくだりがあります。
ラインハルトはこの事実を利用して、敵側が絶対悪で正義は自分達の
側にあるのだ、と主張し、敵側に大規模な攻撃を加えました。
真珠湾攻撃は、アメリカが太平洋戦争に参加したかったから
わざと見過ごされたのだ、という説を語る記事も最近読みました。
それで、思ったんです。
前々からアラブ世界かビンラディンに対して大規模な攻撃を
したかったんじゃないか？それはちょうど、上に挙げた二つの例の
様に。
ま、これも始めに陰謀ありき、な思考ですね。
あぁ、でも私、サスペンス好きだし、あまり政府ってものを
信じてないんです。加えて、アメリカの鮮やかな団結っぷりも、
なんだか太平洋戦争時の日本を思い起こさせて、あまり素直に
感動できないんです。
ま、これが陰謀かどうかは置いといて。今、一番重要なのは
これからどうなるのか、自分がどう関わっていくことになるのか、
そしてプーチンさんの髪の毛はどうなっていくのか(←バシッ)、
ですね。失礼。
長くなりますぃた。ではでは、この辺で。
にゃぁちゅ
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★読者からの投稿文2
アメリカ同時テロに関し、話題になっている「アメリカの陰謀」
について。
ブッシュが大統領に就任した直後からアメリカはイスラム
世界にたいして挑発的とも言える対立姿勢をとりつづけてきた。
タリバン、ビンラディン、イラクに対する露骨な威嚇と経済制裁。
そして、米政府はテロ１ヶ月前の段階で日本や韓国などにある
大使館や米軍基地がテロリストにねらわれる可能性があるとして、
各国に警告を発している。
又、テロ発生数日前、パキスタンの情報機関ISIの長官がヴァージニア
州ラングレーにあるCIA本部に招かれ、CIA幹部と会合を持っていた。
この会合はアメリカによるビンラディン襲撃計画への協力をパキスタン
に要請するものだったといわれている。アメリカでは国防省とCIAの間
で数ヶ月前から、ビンラディン襲撃の準備を進めており、それを実行
するためにはタリバンと外交ルートを持つパキスタンの協力が不可欠
であるとして交渉に入っていたらしい。
米国はテロの前から攻撃準備を進めていた。しかもこの動きはタリバン
にも伝わっていた。テロの２ヶ月前ベルリンで開かれたアフガニスタン問題
フォーラムという会合で、米国の元南アジア担当国務次官補がパキスタン
の元外相にこんな発現をしていた。
「タリバンがビンラディンの身柄を引き渡さないのだから、軍事攻撃する
しかない。今度は失敗しない自信がある」と。。。
しかし、米国はなぜ、ここにきてわざわざ戦争の火種をばらまくような
行動にでたのだろうか？
それは、アメリカの経済を引っ張っていたITバブルが崩壊し、経済が
どんずまり状態にある。そこで、軍需産業を中心に「もはや戦争で
景気を回復するしかない」という声が目立っていた。
そしてもう一つの原因は石油利権である。アフガンのある中央アジア
は近年米石油業界の熱い視線を集めてきた地域だ。
米石油業界はこの豊富な地下資源を運び出す方法をずっと模索してきた。
そして９５年には米政府の前面バックアップのもと、
大手石油会社「ユノカル」がトルクメニスタンとパキスタンを結ぶ
パイプラインの建設計画を立ち上げるのである。
ところが、このパイプラインはタリバンが支配するアフガンを通過
しなければならず、９８年、ビンラディンが関与したとされる
米国大使館の爆破事件をめぐって米国とタリバンの関係が悪化したことで、
建設は中止。今にいたるまで宙に浮いたままになっているのだ。
「油に塗れた政権」のブッシュが、この業界の利益を優先するのは
誰がみてもあきらかである。というのは、ブッシュ本人だけでなく、
父親も石油事業で財をなしており、いわば一族自体が石油メジャーから
石油ブローカーまで幅広い人脈を持ち、副大統領のチュイニ―も同様で、
大手石油会社向けに石油掘削機を販売している会社の会長を務めていた。
つまり、アメリカは戦争がしたくてしょうがなかったのだろう。
このマガジンでも再三言っている「石油」「軍需産業」。
国家というのは本当にこの二つで動くものなのだと感じた。
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○電子メールマガジン「ロシア政治経済ジャーナル」2001/10/28
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解 説： 北野 幸伯
編集発行者： 池田 昌之
発行所：セルテックプロジェクトマネージメント株式会社
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この内容はロシアに在住している著者の観点から書かれています。
一般の政治解釈などとは違う観点から書かれて
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