投稿者 dembo 日時 2001 年 11 月 08 日 07:50:16:
劣化ウラン弾 劣化ウラン研究会
劣化ウラン弾を「使った」という報道は、アラブ諸国を含めて一切どこからもあり
ません。今日段階では。(唯一の報道は末尾に引用しています)
しかし、米軍の軍事作戦(正確なことを知るには、あまりにも希薄な情報密度です
が)をつぶさに調べていけば、そういう結論にしかならないというのが、私たち劣化
ウラン研究会の見解です。
まず、米軍の軍事作戦での公開情報から考えてみます。
米軍は、まず空爆という名の戦争を10月8日に開始しました。爆撃機と巡航ミサ
イルトマホークを発射したわけです。
このトマホークミサイルの部品には、劣化ウランが使われています。これは、飛行
安定装置(たぶん方向舵などのバランスウェート)と弾頭部の重りであろうと考えて
います。
タリバンはアフガニスタンの険しい地形を利用し、地下施設を主体に拠点を設けて
います。地下トンネルや地下水道(数千年前から作られてきた地下隧道で灌漑や飲料
水供給に使われている。これを破壊すればアフガニスタンは水を失う)は、通常爆弾
ではほとんど効果がないため、地下施設を破壊するために湾岸戦争時に開発された地
中貫徹型爆弾バンカーバスター(GBU-28/B)を使いました。
10月11日、場所は不明ですが、報道によれば、おそらくカンダハルであろうと
思います。
劣化ウランとの関係では、バンカーバスターについては、公式文献には使用してい
るという記述を見たことはありませんが、劣化ウランをB61-11という核爆弾に使って
いることは、文献にあります。このB61-11というのも「バンカーバスター」と呼ばれ
ることがあります。この爆弾と通常弾頭型バンカーバスターは、その目的が同じもの
で、特に地中貫徹能力は核爆弾のB61-11よりも通常弾頭型のバンカーバスターのほう
が大きくなっています。通常弾頭型(GBU-28/B)は最大100フィート(約30メー
トル)の地中貫徹力
があるとされています。もちろん地質条件で大きく変わりますが。
核爆弾のB61-11は、十数メートルという表現がされている文献が多いので、少なく
ても核よりGBU-28/Bのほうが倍近い地中貫徹力があると見られます。
地中貫徹力を引き出しているのが、投下高度と地中侵入角度と弾頭重量と加速度で
あることから、B61-11とGBU-28/Bは共に弾頭部に劣化ウランを取り付けていると考え
られます。ちなみにB61-11は250ポンド(約113キロ)の劣化ウランの重りを取
り付けています。
劣化ウラン弾については、過去に米軍がわざわざ自ら公式に「使った」と表明した
ことはありません。過去に劣化ウラン弾を使ったケースとして、91年湾岸戦争、9
5年ボスニア内戦、99年コソボ紛争があります。他に演習中としてプエルトリコの
ビエケス島、沖縄の鳥島、韓国の梅香里があります。(未確認情報として、ドイツの
演習場で使った可能性があるという報道があります)
これらいずれも米軍側から使ったことを進んで公表したのではありません。
湾岸戦争では、最初に劣化ウラン弾の使用を指摘したのは、おそらく米国の核・軍
事アナリストで市民運動をしてるウィリアム・アーキン氏が「40トンの劣化ウラン
弾を使った」と調査結果を公表したものだと思います。その後、米国市民団体イン
ターナショナルアクションセンター(IAC)とラムゼー・クラーク元司法長官が3
20トンの使用と、被害調査結果を公表したことで、世界のメディアが注目するよう
になったと記憶しています。(このいきさつはあいまいな記憶なので間違っているか
もしれません)その後になって米軍は劣化ウラン弾の使用を認めています。その前で
はありません。
ワイズ、RAKA財団なども劣化ウラン問題に取り組んでいます。
旧ユーゴ紛争からみでは、2000年の後半特に12月頃から、ボスニア症候群と
いう、湾岸戦争症候群に類似した病の発生と白血病による従軍兵士や住民の死亡など
が問題となり、メディアが取り上げるようになってから米軍やNATOが劣化ウラン
の使用を認めました。
鳥島劣化ウラン弾事件は、米国のワシントンタイムス紙が情報をつかみ、さらに日
本のNHKが米軍関係者から情報をつかみ、確認のために米国側に取材を行ったこと
から、報道されると大変な政治問題化すると考えた米軍側が、報道前に日本にあわて
て通報したというものです。ところが日本はことの重大さに気づかなかったというお
粗末さでした。
事件の概要は、米軍の岩国基地所属の海兵隊機AV8Bハリアー2戦闘攻撃機が、
95年12月から96年1月にかけて3度、合計1520発の劣化ウラン弾を沖縄県
鳥島射爆場で発射し、その後1年もたった97年1月16日に日本政府に通報し、そ
の段階で既に「環境や人体に影響はない」として、事態が問題化しないようにしたと
いうものですが、ご存じの通り、沖縄では大きな憤りをもって迎えられ、政府も対策
に大慌てとなり、科学技術庁が現地調査を行ったものの、ろくな調査も出来ないまま
結局「安全宣言」だけを出して終わったというものです。
NHKが取材していなければ、通報さえされていなかったでしょう。
劣化ウラン弾を使ったかどうかは、おそらく物証がでてこない限り米軍は認めない
と思います。しかしながら、対戦車兵器として劣化ウラン弾は現在でも最も有効な兵
器とされていますので、ポイントは、対戦車攻撃の方法となります。劣化ウラン弾を
撃つことができる攻撃機は、確認できるのはA10、AV8A、AH64、AC13
0Uです。このうちA-10を除く3機種が戦場に投入されていることは確認されていま
す。従って、劣化ウラン弾の使用は確実と見られます。
劣化ウラン弾を製造しているメーカーの一つは、ミネソタ州ホプキンスにあるアラ
イアント・テクシステムズ社です。ここではAC−130U機に搭載する機銃、GA
U−12オートガンに使う25ミリ高性能焼夷弾を生産しています。これが劣化ウラ
ン弾のことです。GAU−25の25ミリ機銃は、5本の銃身を束ねた構造で、同じ
機銃は、海兵隊のAV8Bハリアー2の機体センターラインにも固定装備していま
す。主に光学式照準システム(LCOSS)「ガンサイト」により照準し、毎分420
0発も発射可能です。劣化ウラン弾も使います。
空軍特殊作戦軍団に所属するAC−130Uガンシップは、2つの前世代のガン
シップであるAC−130AとAC−130Hの後継として開発されました。
既に前線で戦闘行動に入っているAH−64アパッチ攻撃ヘリは、機種に30ミリ
機銃を搭載していますが、この機銃はA−10サンダーボルト攻撃機の搭載している
GAU−5/Aペイヴクロウです。
この機銃はPGU−14劣化ウラン弾を使用します。毎分2400発の発射能力が
あります。
10/2923:19朝:「米軍が化学兵器使った疑い」 タリバーンが非難
朝日新聞ニュース速報
アフガニスタンからの報道によれば、タリバーン政権のアッバス保健相とアフガン人
医師らは29日、カブールで記者会見し、「米軍がアフガン空爆で化学兵器や劣化ウラ
ン弾を使用している疑いがある」と語った。
空爆で負傷した患者らを治療しているワジリ医師は「12歳と15歳の少女と15歳
の少年が空爆で負傷して運ばれてきた。3人とも外見は軽傷だったが、呼吸困難をきた
したほか、内出血し、数時間で死亡した」という。さらに同医師は「ほかにも同様の空
爆犠牲者を診たが、いずれも呼吸困難と内出血が特徴だ」とし、「米軍が化学兵器を使
用している疑いが濃厚だ」と言っている。アッバス保健相は「米軍はコソボで使った劣
化ウラン弾をアフガンでも使っている疑いがある」と語った。