投稿者 転載(い) from 第二海援隊Webウォッチャー ラマダンの戒律を守るとは!? 日時 2001 年 11 月 06 日 21:11:38:
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第205回「ラマダンの戒律を守るとは!?」
(2001.11.08. by Mitsuo Ishiyama)
錦秋の候、本州各地の紅葉が北から深まるにつれて、朝晩はすっかり冷え込むよう
になった。昼の気温だけならまだ20度前後で快適なのだが、夜にはいると急に爪先
から足腰が冷えてくる。アフガンの荒涼とした岩の大地から、日本へ連日テレビ映像
が送られてくるが、過酷な冬を迎えようとしている現地はさぞや大変なことだろう。
食糧が不足し想像するだけでも身震いがする。テロリスト殲滅報復のみに端を発した
今回の戦争は、いつのまにかイスラム教徒全体を敵に回すことになり、泥沼の様相を
深めるばかりで終わりは見えない。五里霧中とは、まさにこのことをいうのだ。アメ
リカでは炭疽菌がばらまかれ、アフガンではミサイルの誤射により、一般市民が犠牲
になっている。米政府はラマダン中も攻撃を継続するとコメントした。これではっき
りイスラム民衆に敵愾心を抱かせた。
しかも歴史上ナポレオンやヒトラーなども含めて迫りくる冬将軍に勝てる軍隊はい
ない。小生の知人に世界一周貧乏旅行をした御仁がいるが、アフガン山岳地帯の厳冬
を、排泄直後にこちんこちんに固まるぐらいの厳しさと例えていた。財政悪化、貿易
赤字、イスラム民衆、冬将軍の到来などを前にした、米国の行動は狂気そのものだと
いえる。マッチポンプのように、かつては米CIAの手先だったビンラディンやタリ
バンを敵に回し、それまでテロ組織と決めつけていたアフガン北部同盟へ同盟支援の
手をさしのべる。アフガン元国王を担ぎ出し、パキスタンの支持をとりつけるため
に、債務免除を許し戦後復興に日本の金融支援をあてにさせる。アメリカの外交行動
には首尾一貫した信頼性がない。臨機応変といえば聞こえが良いが、状況しだいで三
枚舌をこうも駆使されては堪らない。
アメリカの帝国主義的覇権維持に、都合が悪くなったものは消去する。分かり易い
といえば分かり易いが、アメリカの逆鱗に触れぬように日欧の属国政権首脳は戦々
恐々としている。こうした一国覇権主義の弊害が、今日の世界情勢ほど凄惨に感じら
れることはない。中華思想による思い上がりは、その国にとっては至極当然のことだ
が、使役させられる諸外国にとってはいたたまれない憤懣や憎悪を抱かせるものだ。
その米批判の急先鋒が、貧しいイスラム民衆の支持を取りつけているビンラディンと
タリバンなのである。筋論からいえば、アラビアの油田を略奪されるばかりで、何の
メリットもなくいつまでも貧困に苦しまねばならない彼らに分がある。もちろんイス
ラム民衆が、かつてのサラセン帝国のように欧亜にまたがる一大勢力ともなれば、再
び彼らの中華思想が復活するのだろうが…。
現代人も壮大な歴史の一こまを生かされるに過ぎない存在だ。貧富貴賤を問わず、
なんぴとといえども人間は時代の子である。東西文明の800年周期説による東西勢
力転換期、たまたまこうした巡り合わせの時代に、幸か不幸かわれわれは生を受けて
しまった。この時代を如何に生かされるのか。われわれの生命そのもの、生かされる
真の目的とは何なのか。転換期の大混乱を嘆き、金融資産の保全をしゃにむともいえ
るほど守銭奴的に図ろうとしても、それだけでは事態は一向に進展解決しない。日本
も世界の大きな潮流から逃れることは不可能だ。いったい何がこの世に欠けているの
か。箴言や戒律は、人間が守れないからこそ存在する。冷静に考えて全員が守れるも
のならば、箴言や戒律の必要性など無い。基本的に人間は打算が強く隣人愛に乏しい
から、イエスはやむなく隣人愛を、マホメットは共同体(ウンマ)の理想を説いたので
あろう。01/11/04/0:21am
(石山光雄 いしやま・みつお) e-mail : fwkc9323@mb.infoweb.ne.jp
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