投稿者 参考文献 日時 2001 年 11 月 06 日 10:03:16:
冷戦と米国の新世界秩序計画 渡辺康夫
http://www3.ocn.ne.jp/~yasuo/
ここで論じられる戦後史は、国際社会における『対立を装う提携』という知られざる実態をテーマにした歴史検証である。しかし指摘する多くの疑惑は、まだ証明されていないという点で、これは仮説であり、私見にすぎないということは強調されねばならない。そのため、文献・公文書を中心に裏付け作業を続けている。しかしながら常識を覆す歴史観とはいえ、そこから導出される結論は今日のわれわれを取り巻く状況に、より端的な説明を与えているように思われる。
このHPを読まれる読者に私が望むのは、いたずらに反米感情や、反韓、反中感情を持たないで欲しいという事である。今日各方面でこの傾向が見られるが、今後このような傾向が続けば、平和憲法の放棄、有事法のさらなる強化、防衛予算の増額、米軍駐留と地位協定の正当化などが進められる事に、国民が自ら進んで同意する事態を招きかねないといえるだろう。
反米感情によるオプションが選択された場合、1970年の「ニクソン・ドクトリン」が再び採用されるだろう。ニクソン・ドクトリンは、アメリカ軍部隊を東南アジアから撤退させる手段として多くの政治家によって歓迎されたのだが、それは兵器購入の新しい自由を得たアジアや以遠の同盟諸国が西側の利益にかなうよう「兵器を賢明に利用する」ことを前提としていたのである。(文献3−P.312)
このような事態は、冷戦終結を迎え、受注難と経営危機に直面する軍産体制に新たな兵器輸出ブームを起こそうとする指導者側の意図に、我々が同意してしまう事を意味する。そして軍需産業に再び活力が与えられる結果、やがてどこかの国に戦争を勃発させることになるだろう。
教科書の書き換え、民族の自決、大国からの独立を主張する雑誌をはじめ、我々の周りではいま、反米・反韓・反日感情などを煽ろうとする多くの傾向がある。私は民族の自立権を否定するものではないが、その主張には、我々の社会をとりまく軍産体制を結果的に温存してしまう危険性への議論が全く欠落しているように思われる。国家の自立と自由の確立には、まずこの軍産体制の実態を知り、議論されなければならないのではないだろうか。もし、我々が世界の軍産体制の実態について知らされないまま国防論を持ち出されたとき、周囲に軍をもつ国々に囲まれているという現実を考えるなら、誰が軍を持つ事を否定できよう。そして、我々市民はその実態を知らされないまま軍産体制の維持・強化に同意する事になるのである。
戦争は軍産体制が危機に陥った時に起こされ、その前提として民族の対立が煽られるという歴史的パターンがある。冷戦終結直後の湾岸戦争はまさにこうした時、起こされたのだった。このHPは、戦争や民族間の対立に潜む軍産体制の意図を読み取り、無意味な対立や対立が生み出す指導者側の利権発生を、市民の側から防がなければならないという事を提言している。我々国民の手によって、歴史の正しい実態が知られつつある状況を彼らに認識させるならば、彼らが国民をあざむく事は、今後容易ではなくなるばかりか、事実を知る国民の支持喪失を恐れる彼らは、国民の意思を政策に反映せざるを得なくなるだろう。そのためにもこのHPは歴史の実態に忠実でなければならない。
人間は間違いを犯す動物である事を言い訳にする事はできないが、このHPの決定的な間違いや、より重要な論点が欠落しているかもしれない可能性のある事を、特に初心者の読者に対して注意を喚起しておく事は私の責任であると考える。このHPの読者自身の再検証と、読者の広範な知識提供および、このHPに含まれるであろう誤謬のご指摘をひきつづきお願いする。
仮説から導かれる冷戦体制というシステム
a) 米ソ大国は、世界各国に軍事的役割を与え、その政権を保護するとともに内政に深く介入した。
b)米ソをはじめ各国は、それぞれの軍事的役割の下で、ある国は戦争を実行、ある国は多くのテロ集団を養成・支援し、ある国は防衛力強化のため、多くの軍事物資を米ソから購入した。
c)戦争当事国、テロ集団をかかえる各国指導者層は、富と権力を約束する大国支援を獲得するため、大量の軍事物資を大国から購入、戦争・紛争を可能な限り長期化させた。
d)その結果、世界はひとつの巨大な軍事市場となり、国家のあらゆる行動が軍事取引に帰着される国際社会が創り出された。そして、米ソをはじめとする各国は、その軍事的緊張の中で自国の軍事予算を肥大化させ、また大量の軍事物資を同盟国に輸出し合った。その結果国際財閥グループはかつてなく長い軍事的需要が続く中で、法外な巨額の利益を世界中で計上することになった。
戦争の世紀と呼ばれた20世紀には真の対立よりもむしろ、対立によって生じる軍事市場の巨大利権発生を目的とした国家間の事前合意による、演出された対立が数多く存在したといえよう。まさに世界は今日、軍需産業の基礎の上に成り立っている(文献3)といえるのかもしれない。
【 戦争は何故起るのか 】
軍事企業の受注先が民間に依存できない以上、余剰生産の販路を海外に求めるのは必然であったといえる。しかしこれは、その周辺国の軍事バランスを崩し、情勢の不安定化をもたらした。国家を戦争に駆り立てる要因のひとつには、こうした戦争産業の海外進出にあったことは否定できないだろう。(文献3)
戦争は兵器産業のみならず石油、鉄鋼、食品、衣料、建築、機械・電子工業、医療などあらゆる業種への利潤にも貢献した。そのために、戦争産業は国家のあらゆる産業の中核をなし、また兵器はその法外な利益率において民生品とは比較にならないため、車や航空機など時代の節々で起こされた新興企業は軍事に進出し、瞬く間に巨大資本に成長していった。そして彼らの巨大資本を駆使したコミッション(賄賂の意味で使われる)という国家要人への働きかけは、国家中枢への影響力を確実なものとしていった。その結果、彼らの相互利権獲得のため、要人よりも一般市民が、先進国よりも途上国が利用される新しいタイプの戦争が生まれてきたのである。
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