投稿者 うめぼし殿下 日時 2001 年 11 月 04 日 09:33:03:
米に50億円、アフガンには数億円 被災者義援金に格差
米国同時多発テロ発生から50日余り。その間、世界中から被災者への義援金が寄せられている。だが、日本で集められている募金はほとんどが米国被災者向けだ。アフガニスタン難民や飢餓が心配される国内被災民を救援する国連機関や非政府組織(NGO)には、必要な資金の半分も集まっていない。
米国被災者向けの日本からの義援金は、50億円以上にのぼりそうだ。
中心となったのは経済界。経済広報センターの調べで、米国赤十字社や日本赤十字社などに義援金を贈った企業は約200社、42億2000万円に達した。電機、商社、自動車など日本を代表する大企業が、軒並み100万ドル以上を拠出している。社員に募金を呼びかけ、会社側が社員分と同額を上積みして寄付する「マッチング制度」を実施した会社も多い。
このほか経済4団体はニューヨークの消防士・警察官遺児の育英基金を設立する予定で、620社から4億2000万円を集めた。
日赤からの18億5000万円を含め、米国赤十字社には全世界から5億ドル以上が集まった。犠牲者家族への財政支援などにあてられているが、寄付は当初見積もられた所要経費3億1000万ドルを、大きく上回っている。
一方、アフガン難民・被災民支援のために日本で集まった額は、数億円にとどまるとみられる。
日本ユニセフ協会に1日までに寄せられたのは、1億6000万円。国連難民高等弁務官(UNHCR)の資金集めを担う日本国連HCR協会には、まだ数千万円だ。米国には多額の支援をする企業も「難民援助は企業レベルより、国連などの大きな枠組みですべきだ」(大手商社)とためらう企業が多い。
UNHCRは今後のアフガン難民・被災民支援に2億6800万ドルが必要だとしているが、現在までに確保できたのは、各国政府の拠出を中心に5200万ドル(約62億4000万円相当)。圧倒的な資金不足を国際社会に訴えている。
現地での支援活動のため独自に資金を集めるNGOも、苦戦中だ。「難民を助ける会」の柳瀬房子理事長は「旧ユーゴの時に比べ、募金の問い合わせが少ない。アフガンで苦しむ普通の人々の顔が伝わっていない」。
こうした「落差」がある中で、「どちらの被害者も助けたい」と考える人たちもいる。
富士ゼロックスの「端数クラブ」は、月給額の100円未満の端数を出し合って社会貢献に使う社員有志の集まりだ。ここでも当初、米国向けの募金だけを呼びかけたが、社員の中から「難民も助けたい」とメールが寄せられた。議論の末、会社側のマッチングを合わせ200万円ずつを、日赤と難民支援NGOに贈ることにした。
先月東京で開かれたイベントで、米国とアフガン支援のための募金箱が置かれた。別々の箱にする予定だったが「米国とアフガンの被災者を平等に扱いたい」との意見が出て、箱は一つ、募金は等分に分けられることになったという。
女優の吉永小百合さんも、米国被災者とアフガン難民向けに、同額の1万ドルずつを寄付した。「つらい悲しい思いをしているのは、どちらも同じはず。戦争ではない解決法を、との願いも込めました」と吉永さんは話している。
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