投稿者 倉田佳典 日時 2001 年 11 月 24 日 20:33:51:
11/24 16:00 戦火でアフガン麻薬が急増 パキスタンの麻薬店街 外信54
共同
世界有数の麻薬生産国アフガニスタンからパキスタン北部へ流れ
込む麻薬が急増している。米国のアフガニスタン空爆が始まってか
らの約一カ月半で流入量は約25%増えており、アフガンの戦火と
政情不安が隣国での麻薬汚染を深刻化させている。
「これがマザリシャリフ産ハシシュ。世界最高品質だ」。パキス
タン北部ペシャワルの通称「密輸市場」で、麻薬ショップを経営す
るカランダル・アフリディさん(36)は、プラスチックケースの
中から渦巻き状のハシシュの塊を自慢げに取り出した。四畳半ほど
の店内には、大量の麻薬のほか外国製酒類やけん銃が無造作に並ぶ
。
アフリディさんによると「アヘンやハシシュはアフガン人にとっ
て重要な『資産』」だ。アフガン内には麻薬専門市場が存在し、農
民や取引業者は価格上昇に乗じてアヘンを放出、下がれば値上がり
を見込んだ投機目的で購入することもあるという。
タリバンは昨年、国際的圧力でアヘンの原料となるケシの栽培を
禁止したが、既に貯蔵されていたアヘン所持は黙認した。アヘン収
入がタリバン政権と農民の生活維持に欠かせないことを知っていた
からだ。
麻薬類が大量に運び込まれるアフガン国境沿いの地域は少数民族
の自治尊重のため、パキスタン中央政府の警察が介入しにくい。市
場の西側はこの地域に入るため、百軒を超える麻薬ショップが集中
している。
ハシシュ一塊の重さは約二百グラムで、価格は五千パキスタンル
ピー(約一万円)。生アヘンは一キロ当たり二千―四千ルピー。「
(パキスタン南部の)カラチでは二・五倍。欧米の市場に到着する
ころには百五十倍の値段になる」という。
しかし、十月に空爆と北部同盟による攻撃が始まると、農民らは
生活不安から貯蔵アヘンを放出。パキスタンへの入荷量が約25%
増えた。さらにパキスタン治安当局者によれば、タリバン撤退地域
を制圧した北部同盟有力者は最近、来春の収穫目当てにケシ栽培を
農家に強制している。
ペシャワルにある麻薬中毒者救済の非政府組織(NGO)「DO
ST(友人)」によると、パキスタンの麻薬常習者は推定で四百五
十万人で、増加傾向だ。同組織幹部ムハマド・アユブ氏は「薬物の
密輸増加は価格低下につながり、常習者のすそ野を広げる」と麻薬
汚染の拡大を懸念している。(ペシャワル共同=半沢隆実)
(了) 011124 1559
[2001-11-24-16:00]