投稿者 いがらし 日時 2001 年 10 月 25 日 11:12:11:
【ワシントン布施広】米国防総省は23日、アフガニスタン空爆で20日と21日に
誤爆があったことを認め、米軍の攻撃の正確さを疑問視する見方が強まっている。誤爆
で多数の死傷者が出たことが確認されれば、イスラム世界などに空爆反対論が高まるの
は避けられない。一方、タリバン政権側は、空爆を恐れて兵器類をイスラム寺院などに
隠し始めたとも伝えられ、米軍の攻撃はますます難しくなる可能性もある。
国防総省によると、アフガン西部ヘラート郊外で起きた21日の誤爆は、米軍戦闘機
が投下した爆弾が、標的から約90メートル離れた高齢者施設に着弾したもの。20日
には米軍機が住宅地域に誤って爆弾を投下した。21日の誤爆は誘導システムの不調に
よるもので、国防総省は死傷者数などは確認できないとしている。
2月の米英軍のイラク攻撃の際は、位置監視衛星を使った高性能誘導爆弾25発のう
ち8発しか標的に命中せず、残りの爆弾は標的から数十メートル、時には100メート
ル近く離れた場所に着弾したことが明らかになっている。誘導システムが今回と同じか
どうかは不明だが、イラク攻撃時の精度から見て、今後も誤爆が起きる恐れがある。
99年のユーゴスラビア空爆では、北大西洋条約機構(NATO)軍機が78日間の
空爆で約2万3000発のミサイル、爆弾を使い、計20件の誤爆が起きた。同年5月
の中国大使館誤爆は、標的選定に古い地図を使ったためだった。パイロットの誤認によ
り避難民の車列を爆撃した例もある。誤爆の原因は衛星誘導システムの問題だけでない
。
一方、国防総省や米紙の報道によると、タリバン側は首都カブールなどで、兵器類を
学校やイスラム寺院、大学構内などに保管し、タリバン兵士が民間人の家に隠れる傾向
も出ている。91年の湾岸戦争では、イラク軍が対空砲などを住宅地に移動、間接的な
「人間の盾」作戦を取ったと伝えられ、アフガン空爆も同じ経緯をたどっている。
今月7日からの空爆で、タリバン側の軍事力に打撃を与えたのは確実だが、タリバン
は航空機を地下に隠しているとの情報もあり、反タリバン連合(北部同盟)との軍事バ
ランスが逆転したかどうかは疑問だ。タリバン側の兵器隠匿が事実とすれば、残存兵力
の破壊を狙う米軍の空爆は、誤爆の危険と背中合わせになる恐れもある。
[2001-10-24-19:10]