投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 10 月 24 日 02:14:30:
【ワシントン22日=土井達士】
「国際テロリスト組織の壊滅」を掲げ、テロ組織アルカーイダの重要拠点であるアフガニスタンへの軍事攻撃を続けている米国内で、アフガン攻撃の目標達成後には、イラクに対しても武力攻撃を行うべきだとの意見が高まっている。二十一日には共和党政権のキッシンジャー、民主党政権のオルブライト両国務長官経験者がそろって攻撃の必要性を認めるなど、これまで激しい議論が交わされてきたイラク攻撃問題は、ここにきて一気に“推進派”が勢いを増している。
米軍制服組トップのマイヤーズ統合参謀本部議長は二十一日、ABCテレビのインタビューで「米軍がイラク攻撃の準備を始めたとのうわさがあるが、真実か」との問いに対し、「(今回の戦いは)テロリズムと大量破壊兵器に対する世界規模のものであり、広範な計画を立てるのは当然だ」と答え、軍が戦闘準備を検討していることに強い含みを持たせた。
これまで「当面の敵はタリバンとテロ組織アルカーイダだ」と繰り返し述べてきたパウエル国務長官も同日、「イラクがテロ兵器を開発しているのは公然の事実であり、注意深く監視していかねばならない」と語り、将来の攻撃の可能性は排除しなかった。
一方、昨年の大統領選で民主党の副大統領候補となったリーバーマン上院議員はこの日、「サダム・フセイン(イラク大統領)がアルカーイダと接触した可能性もあるが、それより重要なのは、イラクが生物・化学兵器を米国に対して使いたがっていることだ。イラクとの決着をつけねばならない」と断言した。
キッシンジャー元長官はリーバーマン議員の発言を受ける形で「イラクの生物・化学兵器を止めるために武力行使が必要なら支持する」、オルブライト前長官も「現時点での主要目的(アフガン攻撃)達成後の話になるが、世界の主要な悪人の一人であるサダム・フセインを何とかせねばならない」と、それぞれイラクに対する処置が必要との意見を表明した。
イラク攻撃に関しては、九月の米中枢同時テロ後にウォルフォウィッツ国防副長官らが強く主張していた。しかし、中東諸国などの支持を得ることが困難などとの意見が出され、当面はアフガン攻撃に集中すると決まった経緯がある。
ただ、ここに来て炭疽(そ)菌事件が相次ぎ、米国内で生物・化学テロへの恐怖が飛躍的に高まってきたことで、これらの兵器開発を進めているイラクの脅威が改めて注目されている。下院のハイド外交委員長のように、国際世論への配慮などから、イラク攻撃に否定的な意見もあるが、超党派で積極論が力を増していることは否定しにくい状況となっている。