投稿者 倉田佳典 日時 2001 年 10 月 23 日 18:36:21:
10/23 16:31 大量逮捕に人権侵害の批判 米捜査、決定的証拠欠く 外信82
共同
米中枢同時テロ事件に関連して米連邦捜査局(FBI)など捜査
当局は二十三日までに全米各地で八百人以上を逮捕したが、乗っ取
り実行犯と共謀関係にあったとの決定的証拠を収集できずに既に一
部を釈放。弁護士や人権擁護団体からは「人権侵害だ」と批判する
声も上がり始めている。
米紙ニューヨーク・タイムズなどによると、FBIなどは九月十
一日のテロ事件直後から実行犯らの携帯電話での通話記録、自宅周
辺の聞き込みなどを基に、中東出身者の大量逮捕に踏み切ったが、
容疑は移民法違反や交通違反、文書偽造などがほとんど。
捜査当局が最近注目したのは、インディアナ州で十月十一日、九
人のエジプト人が逮捕されたケース。彼らがウサマ・ビンラディン
氏のテロ組織アルカイダのメンバーとの疑いが強まったためだ。全
員が同じ場所に住み、一人は飛行訓練を受けていた。
だが、うち七人は十八日に釈放された。飛行訓練歴が問題視され
たレストラン経営者(29)は、パイロット資格を持つ元米国外交
官の義父から費用を出してもらったため通っていただけと判明した
。
また、国防総省に突入した民間機を操縦していたとされるハンジ
ュール容疑者ら二人の身分証明書の取得を手伝ったバージニア州の
アラブ人の場合、FBIは当初、有力な情報提供者として接近しな
がら、約二週間後には「体験を偽って述べた」として身柄を拘束し
た。
FBI報告書によると、このアラブ人は、ハンジュール容疑者ら
がバージニア州内の高層ビルに関心を抱いていたことや、同容疑者
が「重くて不快なにおいがする箱」を自分で安全な場所に運んだこ
となどを証言したという。
大量逮捕には第二、第三のテロを防止する狙いもありそうだ。し
かし、複数の政府高官が同紙に「アルカイダのメンバーは少なくと
も十人を逮捕した」と強調する一方で、別の高官は「いずれもメン
バーとの証拠はない」と明かしている。
ニューヨークの移民法関係の弁護士は「(逮捕の確認などの)問
い合わせですらノーコメントのことがある」と捜査当局の対応を批
判。ジョージタウン大学の法律専門家は「今は非常事態時だが、文
明社会を統治する(法秩序という)原則を侵さないことが重要だ」
と指摘している。(ニューヨーク共同、伊藤英一)
(了) 011023 1630
[2001-10-23-16:31]